Bリーグデビュー戦から1年、富樫勇樹と再びの対戦
河村勇輝は特別指定選手として、2年目のBリーグを戦っている。現役高校生として三遠ネオフェニックスに加わった昨シーズン、B1最年少デビューを飾ったのが昨年1月25日の千葉ジェッツ戦。それからちょうど1年が経過して、河村は横浜ビー・コルセアーズの一員として千葉と対戦した。
同じポジションの富樫勇樹との対決が注目を集める中、この日の河村は3ポイントシュート6本中1本成功の6得点、さらには2スティールを奪うも3ターンオーバーを献上と苦しみ、チームも64-75と敗れた。
河村は富樫との比較について、「実力が全然違うのにもかかわらず取り上げてもらえるのはありがたいこと。その中で1年間を通して、もっとやらないといけないことがたくさんあると感じます」と厳しい自己評価を下す。
ただ、特別指定選手としてシーズン途中での合流で、周囲との連携がより求められるポイントガードであることを考えると、今回も22分とチーム合流からすぐに安定して20分以上のプレータイムを得ている河村の活躍ぶりは、大学1年生であることも加味するとと間違いなく特質すべきものだ。
さらに、第4クォーターの勝負どころでコートに立っていることも少なくない。これは、彼がすでに横浜の主力と見なされているからこそだが、本人はそこに対する充足感よりも「試合に出させてもらっていて、チームを勝たせなければいけない」と、これで3連敗と結果を残せていないことへの反省がまず先に来る。
「第4クォーターの大事な時間帯で先輩ではなく自分が出ていることに、もっと責任感を持ってチームを引っ張っていけるだけの実力をつけないといけないと思います」
「近い将来、ビーコルは強豪チームになる」
東海大での1年間を経て成長を感じている部分もある。「昨年と違ってスタッツには残っていないですが、たくさんコミュニケーションを取りながらチームとして自分のやるべき役割を全うできていると感じています。そこは大学で培ったバスケットボールIQなどが生かせていると思います」
また、横浜にはピック&ロールからの合わせに長けたパトリック・アウダの存在など、これからプロで活躍するためには不可欠なビッグマンとの連携で大学では得られない経験を積めている。
「大学バスケットにはいないサイズ感のある選手とプレーできる。相手にも大きな外国籍選手がいるので、そのディフェンスをかわしながらのシュートであったり、味方の大きな選手と合わせていったりと、大学では感じられないものを感じられています。もっとフローターを打ったり、3ポイントだけでなく、2ポイントのミドルシュートを課題として取り組んでいけないといけないです」
このように今の河村は横浜で充実した時間を過ごしており、さらなる高みへと変化を続けている。ただ、一方で全く変わらない部分もある。それは個人のスタッツは二の次で、チームの勝利に注力することであり、所属チームへの想いの強さや忠誠心だ。それは特別指定での短い在籍期間であっても全く変わることはない。
会見の最後、「これで終わります」という司会者の言葉をさえぎってまで河村は、こんな思いを語った。
「今は勝てていない状況にありますが、この3連敗は自分たちにとってプラスになっています。この千葉戦での40分間を通して、何が自分たちの強みなのか、何が課題だったのか感じることができました。これからに繋がる試合だったと思います。自分がビーコルにいられる期間は残り少ないですし、来年、再来年とチームにいるかどうかは分からないですが、近い将来、ビーコルは強豪チームになる、絶対にこれから上向きになっていくチームだと確信しています」
河村が残り少ないBリーグでのプレー期間でどんなきらめきを見せてくれるのか。そして、横浜に何をもたらしていくのか、さらに期待感が高まる力強い言葉だった。
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