21歳の日本人ビッグマン、井上宗一郎がB1デビュー戦で得た手応え「通用するプレーをしっかり準備してきた」

21歳の日本人ビッグマン、井上宗一郎がB1デビュー戦で得た手応え「通用するプレーをしっかり準備してきた」

2021/01/27 12:00
井上宗一郎

広島の強力ビッグマンを相手に奮闘した8分間

土壇場で西川貴之が逆転3ポイントシュートを決めて三遠ネオフェニックスが85-83で広島ドラゴンフライズに勝利した1月24日の試合は、若き日本人ビッグマン、井上宗一郎のB1デビュー戦でもあった。

筑波大3年の井上は、3年前にも福岡大学附属大濠から特別指定でライジングゼファーフクオカに加わり、Bリーグを経験している。だがその舞台はB2であり、この日がB1で初めてのプレーだったが、この試合は外国籍選手のファウルトラブルもあり、8分間というプレータイムの中でも太田敦也とのコンビで広島に食らい付かなければいけない、大事な局面でもコートに立っている。

井上は出番のなかった土曜の第1戦終了後、ヘッドコーチのブラニスラフ・ヴィチェンティッチから「明日は出場機会があるから準備しておくように」と声を掛けられたそうだ。それに対する返事は「準備はできています」だったと指揮官が明かしている。実際、「試合前から準備はしていて、気持ちも入っていました。緊張もそんなにありませんでした」と井上は振り返る。

「僕としては大学1年と2年の時にも特別指定に行きたかったのですが、授業をしっかり受けないと後々で行けなくなるので、単位をしっかり調べて、3年生のこの時期なら確実に行けると決めて、それまでは勉強に集中しつつ、準備をしてきました。高校3年の時は自分が戦力としてチームに加わるイメージがはっきり持てておらず、準備が甘かったという反省があります。今は大学3年で、次からはそのステージで戦うわけですから、自分が通用するプレーをしっかり準備してきたつもりです」

「インカレぐらいから三遠さんから話が来ていたのですが、その前から特別指定で行きたいところを考えていました。帰化選手やアジア枠のビッグマンを取っておらず、外国籍でペリメーターの選手がいるところ。三遠には太田さんがいますが、外国籍のビッグマンが2人しかいません。プレータイムがあるかもしれないし、出れなくても日本人ビッグマンとして学べるところが多いと思って、すぐに行こうと決めました」

井上の読みは正しかった。指揮官ヴィチェンティッチは「若くて才能ある選手。プロセスを信じて取り組んでいる」と井上に期待を寄せ、特に連戦の2試合目ではプレータイムをシェアする意向のようで、井上のプレー次第で出場時間はさらに伸びそうだ。また太田の存在も大きい。余裕のある試合展開ではなかったが、36歳のベテランビッグマンはプレーが止まるたびに15歳年下の井上に声を掛け、プレーの修正をうながした。

井上宗一郎

「ポジションアップも視野に入れていきたい」

デビュー戦の相手となった広島は、強引な突破から柔らかいフィニッシュを見せるグレゴリー・エチェニケ、ゴール下で強さを発揮するジャマリ・トレイラーと強力なビッグマンを擁している。その中でスタッツには残らないが、本人曰く「リバウンドに絡んで相手の速攻に繋がせないこと、逆にこっちがディフェンスリバウンドを取ってプライマリーブレイクに繋げることができたのは自分の収穫です」とポジティブな結果を出せた。

当然ながら課題も多く、「外国籍選手のところのヘルプが遅くてリバウンドを取られたり、ガードの田渡(凌)さんのアタックに対してシールされて上手くカバーできずバスケット・カウントをされてしまったのが反省です」と振り返る。

井上は身長201cm。外国籍選手と戦うプロではセンターよりもパワーフォワード、ペイント内で身体を張るだけでなくスキルとシュートレンジでも違いを生み出せる『ストレッチ4』になることが期待される。ただ、若い彼はその選択肢を理解しながらも、今はまだプレースタイルを固めるのではなく全方位的に能力を伸ばしたいと考えている。

「自分のスキルがどれだけ上手くなるか、またプレーの幅が広ければいろんなチームから声を掛けられると思います。今の自分は4番ポジションでしかプレーできませんが、ルーキーシーズンまでにハンドリングやアウトサイドのディフェンスももっと詰めていけば、自分の将来の広がり方も変わると思います。ポジションアップもしっかり視野に入れていきたいと思います」

井上は言う。「練習の時からコーチから指示されることがすごく多くて、そこで大学とBリーグの違いを感じます。ディフェンスの質もそうですしスクリーンの精度とか、そういった細かい部分は大学生でも意識すれば変えられること。他のプロの選手もBリーグと大学の差は意識の差だと言うので、そこを自分ができるようになって、大学に戻ったら仲間に伝えてレベルアップさせられるように持ち帰りたいと思います」

満を持して挑戦した2度目の特別指定選手。「高校生の時にちゃんとやれなかった悔しさもあるし、今は周りの大学生も結果を残しているので、絶対に結果を残してやるという気持ちです」と語る井上が、どれだけのものを見いだし、どれだけのものをチームに持ち帰るか。わずかな期間ではあれ、彼は確固たる決意を持ってこの挑戦に臨んでいる。

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