マレー退場後にエースの重責を果たし、マブスを撃破
ディフェンスはピリッとせず、頼みの両エースもニコラ・ヨキッチが20得点止まり、しかもジャマール・マレーは第3クォーター残り5分でティム・ハーダウェイJr.の股間を殴り上げて退場に。一方でマーベリックスではエースのルカ・ドンチッチが35得点11リバウンド16アシストとトリプル・ダブルの活躍を見せた。それでもナゲッツが117-113で競り勝てたのは、両エースに次ぐ『第3の男』であるマイケル・ポーターJr.の大活躍があったからだ。
マレーが退場した時点で80-73とナゲッツがリードしていたのだが、そこからたった30秒で同点に追い付かれた。ポーターJr.はここで投入されるも、最初のオフェンスでヨキッチが不用意なミスでボールを失い、80-82と逆転されてしまう。マレーの退場を機に試合の流れは完全にマブスに傾いていたが、ここでポーターJr.がドンチッチを巧みなステップでかわすジャンプシュートを決めて相手のランを11-0で断ち切り、その後も思い切りの良いオフェンスで試合の流れを引き戻した。
新型コロナウイルスに感染して3週間に渡り戦線離脱していたポーターJr.は、1月22日のサンズ戦で復帰してこれが3試合目。体調はすでに回復しており、試合勘も取り戻していた。あとはチャンスだけが必要な状況で、マレーの退場によりチームのファーストオプションとなったことで、その恐るべき得点能力が爆発した。
ポーターJr.にはコートのどこからでも、そして相手のチェックを受けていても、またトップスピードからのプルアップジャンパーも決めるシュート力がある。またスモールフォワードでありながらフィジカルが強くてゴール下での肉弾戦も厭わない。思い切り良くシュートを放っては、リバウンドに果敢に飛び込み、ポーターJr.をこれ以上乗らせては危ないと激しく当たるマブスオフェンスからファウルを誘発。フリースローでも得点を稼いでいった。
クラッチタイムにもポーターJr.の勢いは止まらない。第4クォーター残り4分を切り、ドンチッチの得点でマブスに逆転を許した直後のポゼッションで、ポーターJr.は大きく動いてパスを呼び込むと、迷わず3ポイントシュートをねじ込んで再逆転に成功する。ここからナゲッツがリードを守り、とどめの一発は残り41秒、ヨキッチからギャリー・ハリスと繋いで最後はポーターJr.が左コーナースリーを決めた。
ポーターJr.はマレー退場後はベンチに下がることなく、28分のプレータイムで30得点8リバウンドを記録。30得点のうち18得点はマレーが退場した後に挙げたものだ。「いつも自分にできることすべてをやって、ベンチからチームに力を与えたいと思っている。それは今日も同じだ」とポーターJr.は言う。
「フープにボールを入れることは、僕がこのチームにいる理由の一つだよね。チームの得点が伸びていない時には自分ができる限りのことをしなきゃいけないという気持ちでやっている。それはつまり、常に果敢に攻めることだ。それに僕らはアンセルフィッシュなチームで、みんな僕の動きをよく見ていてくれる」
クラッチタイムにシュートを決めるコツは、彼に言わせれば「あまり気にしないこと」だそうだ。「残り2分でも20分でも、シュートは決まったり決まらなかったりするもの。僕は自分のシュートを打ち切ることを大事にしている。オープンだったら迷わず打つ。それはチームメートが僕に期待していることでもある。でも、今日みたいに良い時間帯で決めると気分は良いね(笑)」
好不調の波は激しいものの、ポーターJr.の得点能力はどのチームに行ってもエースを任せられるものだ。マレーとヨキッチの両エースに、この才能をどう組み合わせてチーム力を最大化するか。チームは4連勝と調子を上げており、今後はさらに楽しみだ。