序盤から主導権を握り、要所を締める横綱バスケ
天皇杯第3次ラウンド、宇都宮ブレックスvs大阪エヴェッサの一戦はリーグNo.1の守備力を発揮し、6人が2桁得点を挙げる攻守のバランスの良さを見せた宇都宮が87-72で快勝した。
大阪の竹野明倫ヘッドコーチ代行が「出だしからソフトに入ってしまって、終始宇都宮のペースでプレーさせてしまった」と語ったように、序盤から宇都宮が主導権を握った。ボールマンへのプレッシャーを強めてからのトラップディフェンスやパスの出しどころを限定した状況でのパスカットなど、連続でターンオーバーを誘発し速攻に繋げて開始約3分半で9-2とリードを奪う。
抜群なスペーシングからディフェンスを崩し、遠藤祐亮やLJ.ピークが確実にシュートを沈めた。また、セカンドユニットが出ても力は落ちず、ジェフ・ギブスがインサイドで加点し、喜多川修平が要所で3ポイントシュートを沈めるなど、チーム一丸のバスケを披露しリードを広げた。第2クォーター途中には、田臥勇太が今シーズン初めてホームでコートに立った。得点こそ決められなかったものの、積極的に仕掛け元気な姿をファンに見せた。
宇都宮は43-27とリードして後半を迎えたが、第3クォーターに大阪の反撃に遭う。ここまで、個の守備力に加え組織立ったヘルプによって得点源である橋本拓哉やディージェイ・ニュービルを抑えていたが、ターンオーバーからディフェンスが整わない状況で2人に個で打開されてしまう。なかなか立て直せず、連続で速攻を食らってしまい5点差まで詰め寄られた。
それでも、最終クォーター開始から、喜多川の3ポイントシュート、竹内の速攻からの3点プレーで点差を2桁に戻すと、ギブスのセカンドチャンスポイントに渡邉裕規の3ポイントシュートとベテラン勢の活躍が光り、再びリードを拡大。大阪はスコアラーのニュービルをコートに戻すが、宇都宮は一度引き寄せた流れを渡さずにそのまま逃げ切った。
「層も厚くなって、いろいろな戦い方もできる」
宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは「出だしはポジショニングやコミュニケーションなど、準備期間にやってきたことが出せて、良いチームディフェンスができていたので、良い流れが作れた」と試合を振り返った。
また、「流れが悪い時にターンオーバーからトランジションを出されるという悪い部分も出た」と、第3クォーターに詰め寄られたシーンについて言及したが「そこで我慢できたことで離すことができた」と冷静に分析した。
速攻から3点プレーをもぎ取った場面で珍しくガッツポーズを見せた竹内はいつも以上に気合が入っていたように映った。「いつも通り」と平常運転であると主張したが「大阪にアウェーで負けたことや、こういう状況でファンの方々に元気を与えるプレーをするとか、そういったことが出たかなと思います」と、少なからず気持ちが入っていたと明かした。
この試合は2本の3ポイントシュートを沈めた喜多川が10得点を挙げ、竹内もブロックショットやリバウンドなど要所でのパフォーマンスが光りベンチメンバーの活躍が目立った。安齋ヘッドコーチも「公輔と修平は(レギュラーシーズンの)プレータイムの部分で我慢してもらっている中で、練習でも常にチームルールに則った部分を率先してやってくれていて、2人の良いところが要所で出た」と称賛し、「これがどんどん出てくると層も厚くなって、いろいろな戦い方もできる」と、手応えを得た様子だった。
宇都宮は今日の勝利でベスト4に進出。前年度王者であるサンロッカーズ渋谷を1点差で下したアルバルク東京と準決勝を戦う。