文・写真=三上太

渡邉「今回は楽しむことを目的にして来ました」

渡邉くんに会ってきた。GWの渡邉くん。「ゴールデンウィーク」ではない(いや、そもそも「ゴールデンウィークの渡邉くん」って何だ?)。GW、すなわち「ジョージ・ワシントン大学」である(正確に略せば「GWU」だが、ユニフォームの胸に「GW」とあるので、ここでは「GW」とする)。アメリカのNCAA(全米大学体育協会)のディヴィジョンⅠに属する強豪校。その渡邉雄太くんである。

彼は日本代表として7月の世界最終予選を終えると、一足先にフランクフルト経由でアメリカに戻り、そして今月、GWのメンバーとして来日した。主たる目的は2つ。一つは大学のカリキュラムとなる「他国(彼にとっては母国だが)の文化を学ぶ」ため。もう一つは男子バスケット部のメンバーとして、日本のチームと対戦することである。

男子日本代表とは大阪、東京、そして浜松で3試合対戦することになっていて、今日はその2試合目。試合結果や内容については、ここでは触れない。他のページを見ていただくとしよう。ここで触れたいのは、今夜のゲームの中で垣間見えた、彼のGWでの充実ぶりである。

比較してはいけないのだろうが、世界最終予選ではチームが2連敗し、内容も散々だったことから、あまり笑顔が見られなかった。しかし今日の試合では何度となく笑顔が見えた。生き生きとバスケットを楽しんでいた。その話を向けると、さわやかな笑顔でこう返してくれた。

「今回は楽しむことを目的にして来ました。もちろん集中すべきところは集中して取り組みますが、シーズン中のようにゲームに入り込みすぎないよう、まずは日本でプレーできることを楽しもうとしているのが、そういう表情に出ているのだと思います」

チームを率いるマイク・ロナガンヘッドコーチも、昨年度のチームから主力が6人も抜けて、彼とタイラー・ガバノフ選手に期待するところは大きいと認める。そうした期待もまた、モチベーションになっているのかもしれない。

「昨年までの僕は、卒業していった主力メンバーについていく感じでしたが、今年は僕も3年生になるし、1年生も多く入ってくるので、僕がリーダーにならなければいけません。ベンチからコーチから指示をもらって、チームメートに伝えるような、リーダー的な役割もどんどん増やしていかなければいけないなと思っています」

バスケット大国に渡り、その一員として、母国でのゲームを楽しみながら、今シーズンの役割を見いだしていく。ひいてはそうした数々の経験が、日本代表での彼の存在感を、今後ますます増大させることになる。

渡邉くんの笑顔には、そんな意志も見え隠れしていた。