千葉は富樫勇樹が足を痛めて本来のキレを発揮できず
天皇杯3次ラウンド、川崎ブレイブサンダースvs千葉ジェッツ。終盤まで点差のつかない大接戦となったが、リーグ戦では平均90得点とB1トップのオフェンス力を誇る千葉を抑え込み、ロースコアの展開に持ち込んだ川崎が最後に上回った。
前半は35-35と差が付かず。川崎は持ち前の激しいプレッシャーディフェンスが機能してロースコアの展開に持ち込む。速攻を封じてアウトサイドでもフリーを作らせず、千葉の3ポイントシュートを9本中わずか成功1本と抑え込んだ。ただ、千葉もゾーンディフェンスが機能して、ニック・ファジーカスとジョーダン・ヒースによるインサイドの優位を出させない。速い展開からセバスチャン・サイズが得点を重ねて千葉が一度は抜け出したが、辻直人と藤井祐眞が個人技で得点した川崎が追い付いて前半を終えた。
後半も一進一退の攻防が続く。千葉はインサイドへの合わせでサイズとギャビン・エドワーズの得点が続き、川崎はコートを広く使ってボールを動かしてアウトサイド中心に取り返して時間が進んでいった。
第4クォーター残り7分、58-58と同点の状況で、千葉がしばしベンチで休ませていた富樫を戻す。その直後、富樫に預けようとしたボールを狙っていた篠山竜青がスティールに成功。そのまま速攻に持ち込み、富樫のファウルを誘いながらバスケット・カウントをもぎ取るとともに、千葉にタイムアウトを取らせる。その後もディフェンスでゴール下のエドワーズにボールが入った瞬間にトラップを仕掛け、ターンオーバーを誘発するなど、勝負どころで川崎が目指すインテンシティの高いプレーを体現した。
ここで千葉に逆風が吹く。司令塔の富樫が足を痛め、プレーを続行するものの本来のキレが出せずに、川崎のディフェンスを振り切ることができなくなって得点が止まる。逆に守備から波に乗った川崎は、人とボールが連動する崩しから辻のオープンを作り出し、3ポイントシュートが決まる。残り2分で67-62と、大接戦の展開で川崎が抜け出した。
千葉のタイムアウト明け、またも川崎がパスワークで辻のオープンを作り出す。ノッている辻はフェイクでディフェンスをかわして3ポイントシュートをねじ込んで70-62に。辻は受け身になった千葉ディフェンスのギャップを突き、スルスルと前に出てフローターも沈めるクラッチタイムの連続得点。タイムアウトを残していない千葉には打つ手がなく、川崎が72-62で準決勝進出を決めた。