「今回の遠征で勝つ習慣ができつつある」
グリズリーズはエースのジャ・モラントが戦線離脱して苦しい状況にある。現地1月5日に対戦したのは王者レイカーズ。しかも試合開始から11本のフィールドゴールのうち成功わずか1本とシュートタッチは絶不調だった。それでも第1クォーターを19失点に留め、特に3ポイントシュートを徹底的にケアすることでディフェンシブな展開に引きずり込んだ。タイアス・ジョーンズのパスに合わせたゴーギー・ジェンがダンクを叩き込んだ前半終了間際には10点のリードを奪っている。
だが、48分間を通してレイカーズを押し切るには力不足だった。特にクラッチタイムになると、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスの強力デュオは手に負えない存在となった。最終クォーター残り4分22秒、デニス・シュルーダーのキックアウトを受けたデイビスが左コーナーからの3ポイントシュートを決めてレイカーズが逆転。その直後にはまたもシュルーダーのアシストから、今度はレブロンがフェイダウェイ・ジャンプシュートで突き放す。その後も点差こそ離れないが、レイカーズがリードを守り切って94-92で勝利した。
記者からはレブロンの勝利を大きく引き寄せたフェイダウェイのシュートについて「一般的には効率の悪いシュートだが気にならないか」との質問が飛んだ。これにボーゲルは「第4クォーターのレブロンには絶対的な信頼を置いている」と笑顔で答えている。
「彼はゲームの流れを読み、感じ取ってあのプレーを選択しているわけだからね。その彼の選択は常に正しいものだと考えている。実際、スーパーヒーローのような活躍だっただろう? でも、私としてはゲームを締めくくるのに毎回スーパーヒーローの活躍に頼らずに済むようにしなきゃならない(笑)」
ただ、実際は気を緩めてはいられないようだ。ボーゲルは続ける。「昨シーズンに優勝したチームからキープレーヤーが抜けて、同じようなプレーはできていない。スパーズも今日のグリズリーズも、どれもすごくタフなゲームになった。それでも選手たちはハードワークをしてくれている」
これでチームは4連勝。しかもスパーズ、グリズリーズと2試合ずつを敵地で戦うアウェー4連戦をすべて勝った。今シーズンは新型コロナウイルスの感染対策で遠征の移動をできるだけ減らすスケジュールが組まれており、サンアントニオで2試合、メンフィスに移動して2試合と、本拠地のロサンゼルスに1週間戻らなかった。
レブロンはこの4試合すべてで勝利の立役者となっており、まさにレイカーズにとってスーパーヒーローの働きぶりを見せている。それでもレブロンは淡々とこう語る。「ここに来ているのはチームとして成長して、そして勝つためだ。今回の遠征で勝つ習慣ができつつあるのはチームにとってすごく良いことだ」
ラジョン・ロンドやドワイト・ハワードが抜け、レブロンを始め残留した主力たちも昨シーズンの疲れを残したまま開幕を迎えたレイカーズだが、開幕から半月が経過してみれば6勝2敗で西カンファレンスの首位へと浮上。今シーズンもレイカーズとレブロンはリーグの主役を演じることになりそうだ。