終盤に追い上げる熱戦に、千葉ポートアリーナが熱狂。
4月9日、千葉ジェッツはホームにリンク栃木を迎えた。この日、会場となった千葉ポートアリーナには実に6835人の観客が詰めかけた。
プレーオフ進出に向け勝利が欲しいジェッツは、試合開始からスパートをかける。先制した後に西村文男、小野龍猛が立て続けに3ポイントシュートを決め、いきなり8-0のランに成功。この出足の鋭さは、栃木がいきなりタイムアウトを取り、流れを断ち切らなければならないほどだった。
だが、栃木をこのまま飲み込むことはできず。態勢を立て直した栃木に今度は13-0のランを許してしまう。第2ピリオドから立ち直るものの、その後は約10点のビハインドをなかなか縮められない。田臥勇太を起点とする栃木の多彩な攻めへの対応に苦しみ、ファウルで自分たちのリズムを作れなかった。
苦しむ千葉を後押ししたのはスタンドを真っ赤に染めたブースターだった。第3ピリオド途中でのリック・リカートのツーハンドダンク、田臥からのスティールに成功した西村がそのまま独走でレイアップシュートを決めたあたりから、千葉の得点やリバウンド成功ごとにスタンドが大いに沸く。
これだけのホームアドバンテージは日本ではなかなか見られなかったもの。第3ピリオド残り1分45秒で富樫勇樹の3ポイントが決まり、ついに1点差にまで詰めよる。千葉は明らかにブースターの声援に後押しされ、普段以上の力を発揮。上位の栃木に対して一歩も譲らず、試合を進めていく。
スタンドが最も沸いたのは、第4ピリオド半ば、クリント・チャップマンが豪快なダンクを叩き込み、バスケットカウント・ワンスローを得た瞬間だろうか。その30秒後にはチャップマンが再びダンクを決めつつワンスローをもぎ取り、このフリースローを沈めて68-69と、再び1点差に詰め寄っている。
栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンが「まるでプレーオフのような雰囲気」と語ったこのアリーナの熱狂が、栃木の大苦戦の要因であったのは間違いない。しかし、反撃もここまで。トヨタ東京と首位争いを演じる栃木は残り2分33秒、2本連続の3ポイントシュートで千葉を突き放す。残り1分を切ったところでまた3ポイントシュートを決め、86-75とリードを2桁に広げて一気に勝利を引き寄せた。
富樫はこの試合がケガからの復帰戦。まだ連携面で100パーセントではなかったが、鋭いドリブルで千葉の攻撃をリードした富樫は、「プレーヤーとして多くの人の前でプレーできるのはありがたいし、気持ちの面、やる気の面ですごく後押ししてもらった」とファンへの感謝の気持ちを語るとともに、「だからこそ勝ちたかった」と悔しさをにじませた。
栃木が連勝を5に伸ばした一方で、千葉はこれで3連敗。両者は明日も千葉ポートアリーナで対戦する。