「ピンポイントで流れを変えられる選手起用」が当たった琉球
12月27日、琉球ゴールデンキングスがホームで川崎ブレイブサンダースと激突。ジャック・クーリーを軸に、昨日は不発に終わった持ち味のインサイドアタックが機能すると、最後まで運動量の落ちないディフェンスを貫き、72-63で前日に敗れたリベンジを果たした。
第1クォーター、川崎は前日に引き続きニック・ファジーカスが味方との巧みな連携からイージーシュートのチャンスを作り出し13-8と先行する。しかし、琉球も岸本隆一、キム・ティリの長距離砲で応戦し、川崎の20-18で終える。
第2クォーター、琉球はこのクォーターから投入された石崎巧が開始直後に巧みなステップで守備をかわしてのレイアップ。さらに3ポイントシュートと連続得点でチームに流れをもたらすと、琉球が29-22とリードを広げる。だが、川崎もタイムアウトで流れを切ると、ここから篠山竜青の連続レイアップで追いつき、互角のままハーフタイムを迎えた。
後半に入ると試合が大きく動く。琉球はリバウンド争いで優位に立つと、セカンドチャンスからクーリーが押し込み、さらにトランジションから並里のレイアップで43-35と突き放しにかかる。そして残り7分にはファジーカスが3つ目のファウルとなってベンチに下がったことで琉球の流れになる。だが、ここから川崎はディフェンスで踏ん張り、ターンオーバー奪取からマット・ボンズが速攻で連続得点を挙げるなど粘りを見せる。琉球の54-48と僅差のまま第4クォーターを迎えた。
序盤、川崎はファジーカスが4つ目のファウルですぐにベンチに逆戻りとなるが、引き続きディフェンスで粘りフリースローで繋いでいく。だが、この試合全体で26本中16本成功に留まったように、フリースローのミスが多く4点差から追いつき、ひっくり返すまでには至らない。残り5分と終盤になって、この試合でビッグラインアップを初めて仕掛けるが、良い変化を起こせなかった。
すると、最後までハイエナジーのプレーを継続した琉球に流れが来る。牧隼利の3ポイントシュート成功、今村佳太のフローターと若手のビッグショットで残り2分にリードを2桁に広げ、2020年最後の試合を勝利で飾った。
藤田ヘッドコーチ「期待通りのプレーを見せてくれました」
琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは「エナジーと努力の勝利です。本当に選手が頑張ってくれたことに尽きると思います」と、選手のハードワークを勝因に挙げる。そして、「マッチアップや調子を見て、ピンポイントで流れを変えられる選手を起用していこうと最初から決めていました」との方針の中、その期待に応えたベンチスタートの石崎、牧をこう称えた。
「川崎さんの守備がすごくアグレッシブで、昨日はピック&ロールやツーメンゲームからズレが作れなかったです。石崎選手のうまさ、相手を読む力は群を抜いて高く、今日はそれが必要になると思っていました。まさにこちらの期待通りのプレーを見せてくれました」
「牧は昨日、ディフェンスがとても良かったです。そして辻選手のツーメンゲームにやられていたので、そこを牧で守る。また、相手のビッグラインアップに対しても身体を張ってよく頑張ってくれました」
そして、本日が年内最後の試合であり、2020年を振り返ってもらうと感謝の気持ちを強調した。「2020年に関してはまずバスケットボールができていることにすごく感謝です。朝、起きてベランダで瞑想している時、それをまさに考えていました。そもそもバスケットができていること、自分が楽しいと思っていることを職業にできていることに感謝だと。そういう気持ちを持って会場に入りました。今年は昨シーズンが途中で終わり、自粛期間があってそこから外国人選手がいつ入国できるのかと、大変なことが続きました。今、やっと僕たちがやりたいバスケットができるようになっており、そこから成長するためのステップを踏んでいると思います」
一方、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「終始、相手のフィジカルなディフェンスに苦しむ試合となりました。ファウルも重なり難しい局面となった中でも、我慢して繋いではいけていたと思います。ただ、大事なところでターンオーバーがあり、イージーシュートを決め切れずに勝つのは難しいです」と振り返る。
また、2020年について「いろいろなことが起こると予測していましたが、本当にいろいろと起こってしまいました」と故障者続出への率直な感想を明かすと、ここ5試合で4敗を喫している中でも「チームとしては一歩ずつ前に進んでいます」と手応えを得ている。
「シーズンの出だしでうちにしかないオプションをいろいろと作ろうとやり始め、今は途中から取り組んでいるベースをもう一回作り直している段階です。そこに関してはディフェンス部分でもだいぶ上がってきました。そして今日もビッグラインアップを試しましたが、オプションとの連動がチームとしてうまく噛み合ってくれば今シーズンの戦い方が確立できてきます。そこに関してはもう一歩のところです。ただ、先を考えると、今進んでいる道は必要です。これは選手と共有しながら進めていくしかないです」
リーグ上位対決は、ともに互いの強み、課題が明確に出た中での1勝1敗となった。そして、ともにさらに進化していける潜在能力を示した。リーグ屈指の人気、実力を備えた両チームだけに、これからどんな成長を果たしていけるのか。2021年も引き続き多くのファンが注目していくはずだ。