痛すぎたアリのファウルアウト
ウインターカップ男子準々決勝、福岡第一vs仙台大学附属明成は優勝候補同士らしい白熱したものとなった。
序盤、福岡第一はキエキエトピー・アリの連続得点、ゾーンディフェンスをかいくぐっての早田流星の連続3ポイントシュートなどで2桁のリードを得る。だが、明成も山﨑一渉のバスケット・カウントや速攻で14-20と追撃した。
その後は互いのディフェンスがオフェンスを上回るロースコアゲームの展開に。明成はアリへのダブルチームを徹底し、インサイドの失点を最低限に抑えた。また、変則的なローテーションでズレを作らせず、ノーマークをほとんど作らせない。一方の福岡第一もゾーンディフェンスに変え、激しいボールマンプレッシャーからタフショットを打たせるなど強固なディフェンスを披露した。
第3クォーターに入ると、山﨑の連続3ポイントシュートなどで明成がついに逆転に成功する。福岡第一もペースを落とさず、その後は拮抗した展開が続くが、互いに主力選手にファウルトラブルが生じたことで試合が動き始める。
第3クォーター残り2分を切った場面、アリが個人4つ目のファウルを犯しベンチへ退く。これで明成が優位に立ったと思われたが、ディフェンスの要である一戸啓吾、攻守に奮闘していた越田大翔の2人も4つ目のファウルを犯してしまう。痛み分けとなり、山﨑をフェイスガードで封じた福岡第一がリードする時間が続いたが、最終クォーター残り6分を切った場面でアリが5ファウルとなってしまった。
明成はアリを退場に追いやった山内シャリフ和哉がアグレッシブにプレーし、山﨑や越田も続いて、残り3分で逆転に成功した。そのまま押し切るかに見えたが、オフェンスモードに切り替えたハーパージャン・ローレンス・ジュニアが立ちはだかり、最後まで拮抗した展開が続いた。
残り33秒、山内のゴール下が決まり、明成が64-61とリード。その後、同点を狙ったハーパーと早田の3ポイントシュートが外れ、明成がそのまま逃げ切った。
劣勢を覆した山﨑「そこで自分がどれだけ決めれるか」
福岡第一の井手口孝コーチは「特にアリのファウル、キャリアがないところが出ましたね。ああなっちゃうとちょっと厳しいです。アリが40分いてくれたら、僅差で勝ち逃げできたかなと思います」と語り、大黒柱のファウルアウトを敗因に挙げた。また、「身体を張って守られたところで、ウチの選手たちはちょっとシュートを逃げちゃいました」とも語り、長身選手の揃った明成のゾーンディフェンスを崩せなかったと続けた。
一方、劣勢な状況を自らが打開し、ゲームハイの29得点を挙げて明成を準決勝へと導いた山﨑は「絶対につらい時間帯があると分かっていたので、そこで自分がどれだけ決めれるかというのを考えていました。点差が離れた時も自分たちがやってきたことをみんなで信じて、それが勝因に繋がったと思います」と笑顔を見せた。
山﨑はアリとのタフなマッチアップをしながらも40分間フル出場し、17リバウンド2スティール3ブロックとディフェンス面でも大きな働きをした。山﨑も「得点以外の部分も、今日はいつもより強気でできたと思う」と自画自賛するほどだった。
ベスト8の壁を突破するとともに、福岡第一の3連覇を阻んだ明成。このままの勢いで日本一を奪還できるか。明日は尽誠学園を86-81で退けた北陸と準決勝を戦う。