山田葵

38分間の出場でターンオーバーを1に抑える安定感

ウインターカップ女子3回戦、東京成徳大学vs県立小林の一戦は第1クォーターに29-8と大量リードを奪った成徳が、相手の激しい粘りをかいくぐり97-71で勝利した。

正確なシュート力を持つ成徳はオフボールスクリーンからズレを作ると、わずかな間合いでもためらわずに3ポイントシュートをリリース。これが高確率で決まり、開始4分強で13-3と一気にリードを奪う。その後も、混乱する小林を尻目に次々とシュートを沈めていき、第1クォーターを29-8とする最高のスタートを切った。

その後も20点前後のリードを保ち試合を進めていたが、捨て身覚悟でオフェンスリバウンドに飛び込んでくる中山の気迫に押され、ルーズボールや球際で競り負けたことで追撃を許してしまう。そして、最終クォーター残り6分に3ポイントシュートを許し、12点差まで迫られた。

1桁差となれば、追いかける側の勢いはさらに増すところだったが、ここでキャプテンの山田葵が流れを断ち切る値千金の3ポイントシュートを成功させた。こうして、落ち着きを取り戻した成徳が粘る小林を再び押し返し、ベスト8進出を決定させた。

14得点6リバウンド10アシストを記録し、勝利に大きく貢献した山田だったが「相手の強い気持ちに押されてしまって、リバウンドをすごく取られてしまったり、ゾーンプレスをされて全員が焦ってしまいミスを繰り返してしまったので、改善しないといけません」と、反省点に目を向けた。

確かに小林の気迫は強烈で、試合巧者の成徳さえも飲み込まれそうになるほどだった。それでも、山田はギリギリのところでこうした圧力をかいくぐり、38分間の出場にもかかわらずターンオーバーはわずかに1と、誰よりも落ち着いてプレーしていた。山田は「正直焦っていました」と明かしたが、そうした素振りは一切見せず、声をかけて味方に平常心を取り戻させた。

「冷静に見せているつもりはあまりなかったんですけど、仲間が焦っているのを落ち着かせるためにも『大丈夫だよ、切り替えて』と言葉をかけて落ち着かせるようにしました。全員が焦っている中でも冷静にコミニケーションが取れたと思います」

山田は世代別代表に選出され続けており、そうした豊富な経験がどんな場面でも動じない強いメンタルに繋がっているのかもしれない。精神的支柱でもあるキャプテンが、強い成徳を支えている。