福岡大学附属大濠

試合巧者の大濠、ハードワークする相手のミスを見逃さず

ウインターカップの男子2回戦、福岡大学附属大濠は関西大学北陽を92-84で破った。

大濠にとっては総合的なチーム力の高さを示す試合となった。立ち上がりからアグレッシブに前に出る北陽に開始3分半で8-2と先行されるも、西田陽成の3ポイントシュートを機に反撃開始。チームでボールとスペースをシェアしてチャンスを作り、センターの間山柊がシュートレンジの広さを生かして相手守備のギャップを突いて得点すれば、シックスマンの針間大知も果敢なアタックでチームに勢いを与えた。

北陽はエースの金近廉にマークが集中するが、金近は自分で無理に攻めることなく相手を引き付けてチャンスメーク。それでいて複数で守られていない時は迷わずにアタックして得点を伸ばしていく。

ただ、大濠のディフェンスは大崩れしない。前半だけで13ものターンオーバーを関西大学北陽から引き出し、金近とマッチアップする間山が攻守に存在感を発揮してリードを保ち続ける。

45-38と大濠がリードして迎えた後半、金近が速攻からのダンクを皮切りに連続得点を挙げるが、西田が正面からの3ポイントシュートを確実に決め、さらにスティールからのワンマン速攻と、こちらも金近に負けないエースの働きを披露する。ハードに戦い続ける北陽だったが、流れが来そうで来ない展開を何度も続く中で集中が途切れ、そこを試合巧者の大濠に突かれてしまう。

終盤、突き放された後も関西大学北陽は金近、そして森田壮にボールを集めて打開を図るが、強引な仕掛けて守備をこじ開けて得点を奪った直後にカウンターであっさり2点を取り返されるなど、大濠の術中にハマった感もあった。第4クォーター残り4分30秒、チームで作った3ポイントシュートのチャンスを西田が決めて74-64と10点差に。このまま優位を保った大濠が、関西大学北陽を振り切った。

西田陽成

西田陽成にエースの自覚「強気で打つと決めていた」

金近廉がゲームハイの34得点に加えて12リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを記録したが、西田陽成もエースとして負けない働きを見せて5本の3ポイントシュート成功を含む25得点を記録した。

かつて大濠のエースだった西田雄大、西田公陽の弟である陽成は、兄にも負けないオフェンス能力の持ち主だが、コート上で人の良さが出てしまうタイプ。どこまで強気に、貪欲に、そして強引にプレーできるかが問われていた。それでも今日は大会屈指のスコアラーである金近との対戦とあって「迷ったシュートは打たない、強気で打つと最初から決めていました」と語る。

「1回戦では自分の仕事があまりできなくて、今日は相手のレベルも上がって自分がやらないと苦しくなると思っていました。最初からずっと強気でやれたことは次の試合でも自信になると思います」。こう話す西田がオフェンスを引っ張れば、大濠はさらに強くなる。明日の3回戦では東山との対戦が待ち受ける。優勝候補同士の対戦で西田がさらに強気なプレーを見せられるか、大いに期待したい。