「優れた個性が結束すれば、必ず強いチームになるよ」
ダニーロ・ガリナーリは32歳で迎えた今オフに、サンダーを離れてホークスと契約を結んだ。もう若くはない中でフリーエージェントの権利を得た彼は、いまだ果たしていないNBA優勝の夢を実現させるべく上位チームに加わると見られていたが、実際は直近の3シーズンでプレーオフに進出していないホークスを選んだ。
しかも彼は、ジョン・コリンズの控えという役回りを受け入れてもいる。タレントは揃っているが、勝率5割を上回ってプレーオフに進出することが目標のチームで、彼はどこにモチベーションを見いだしているのだろうか。
母国イタリアでNBAを中継する『SKY』の取材に応じたガリナーリは「目標はすごく高い。今のホークスはものすごく良いチームになる可能性を感じるんだ」と語る。
「目標はチームの成長に手を貸し、プレーオフ進出じゃなくてプレーオフで先まで進むこと。どこまで行けるかはまだ言える段階じゃないけど、日々成長していくのが大事だし、チームが集中して毎日の練習に取り組む部分で僕の経験が生きると思う」
ポテンシャルはあっても優勝を狙うには時期尚早、というのがホークスの評価だろう。ガリナーリも「優勝は意識していない」と認める。ただ、彼が見ているのは日々の成長と目の前の試合での勝利だ。「若いチームはあまり先を見るべきじゃない。まずは目の前の試合に勝つこと、負けた試合から学んでミスを繰り返さないこと。チームが一歩進んだ次に一歩下がるのではなく、一歩ずつ前に進んでいけるように力を貸す。球団もそれを僕に求めている。今の僕は個人のことは全く気にしない。チームの成長が第一、そこで何か足りない部分を僕のプレーで補えるのであれば、それはコート上で示したい」
トレイ・ヤングを始めとするヤングコアに、多くの即戦力が加わったホークスは新しいチームに生まれ変わった。それでも選手やスタッフの中心にいつもガリナーリはいる。イタリア人らしい快活さとこれまでの経験が、チームの結束力をいち早く高めることに役立っている。
「僕は何度も移籍をしてきたけど、どのチームでもどの街でも馴染んできた。これは経験の成せる業だと思う。若手とベテランがバランス良く集められたチームでリーダーシップも発揮したい。このチームはオフェンスの武器はいっぱいあって、ディフェンスがちょっと難しいとみんな思っているだろう。そこは選手個々の能力で解決するのではなく、ケミストリーを高めることで改善していきたい。もちろんチームの成熟には時間が必要だ。でも、優れた個性が結束すれば、必ず強いチームになるよ」
開幕を前に、メディアではシックスマン賞の有力候補にガリナーリを推す声もある。若いコリンズが先発であっても、ガリナーリにも十分なプレータイムが与えられるだろうし、司令塔のラジョン・ロンドとセカンドユニットで組むことで得意の長距離砲爆発が期待される。ガリナーリ自身は個人に全くフォーカスしていないようだが、開幕すれば大きなインパクトを残すに違いない。