「優勝したいんだという気持ちがみんな強い」
新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受け、今年度に限りレギュレーションが変更されて20チームの参加となった皇后杯。例年であれば年明けに決勝が行われるが、先週からこの週末にかけてファイナルラウンドが行われることになり、今日15時からENEOSサンフラワーズvsトヨタ自動車アンテロープスの決勝が行われる。
ENEOSサンフラワーズは林咲希、梅沢カディシャ樹奈と主力を欠いた上、準々決勝では攻守の柱である渡嘉敷来夢まで膝のケガで戦線離脱。それでも代役となる選手がきっちりと結果を出して勝ち上がってきた。一方のトヨタ自動車はコンディションは概ね良好。Wリーグのレギュラーシーズン、東地区で台風の目となっている日立ハイテククーガーズとの準決勝では、激しくファイトするスタイルに苦戦しながらも、終始リードを保って快勝した。
トヨタ自動車が勝ち切ることができた大きな要因は選手層だ。日立はケガ人がいた影響で先発の5人にプレータイムが偏り、鈴木知佳がファウルアウトとなったのも、ファウルマネジメントのできる選手起用ができなかった結果である。トヨタ自動車はローテーション起用で負荷を分散しており、仮に終盤に追い付かれてももう一伸びする余力を残していた。
新体制になって大きく様変わりした日立とはWリーグでは別地区で、今回が初の顔合わせ。前半は相手のスタイルに戸惑ったが、それでも「実際やってみて当たりが強いだったりだとかギャップはあったんですけど、でも自分たちのバスケットを出せば勝てるんだというのが後半出せたと思います」と馬瓜エブリンは自信を語る。
「一人ひとりが自立している、それがガッと集まれば強い」
「トヨタは一人ひとりが自立してやっているチームなんです」とエブリンは言う。「それがガッと集まった時は強い。それが今日は出せました」
その『ガッと集まる』パフォーマンスを今日の決勝で出すことができるのか。昨シーズンの皇后杯では準決勝でENEOSと対戦。この時は渡嘉敷の圧巻のプレーで試合の流れを早々に持っていかれ、48-82と信じられない大敗を喫している。これまでENEOSとはタイトルを争う舞台で何度も対戦してきたが、そのほとんどがENEOSの勝利に終わっている。
「優勝したいんだという気持ちがみんな強い。本当にここまできたら優勝したい。自分たちのバスケットに自信を持っているので、出し切れば優勝できると思っています」とエブリンは言う。『女王』はケガ人続出で満身創痍であってもデンソーアイリスを寄せ付けない強さがある。その壁をトヨタ自動車は乗り越えられるか。
そのためにはトヨタ自動車のリーダーの一人であり、日立ハイテク戦で19得点9リバウンドとどちらもチームハイの数字を残したエブリンの、オールラウンドな働きが求められる。おそらく宮澤夕貴と向かい合う回数が多いであろうマッチアップでエブリンがどれだけ優位を作り、チームを勢い付けられるか。それが決勝の勝敗を分けると言っても過言ではない。
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