渡嘉敷が戦線離脱も「高さがないので平面を制するぞ」
皇后杯の準決勝、ENEOSサンフラワーズとデンソーアイリスが対戦。ENEOSが攻守に素晴らしいパフォーマンスを見せて、78-62で快勝した。
準々決勝で渡嘉敷来夢が右膝前十字靭帯断裂の大ケガを負い離脱。梅沢カディシャ樹奈もケガで欠場中と、ENEOSのインサイドは非常事態。それでも8年目と経験はあるがこれまでベンチが長かった中村優花、そしてルーキーの中田珠未が先発起用の期待に応える奮闘を見せた。
開始から3分間は無失点でしのぎ、中村が堅守から速い展開に持ち込むなどENEOSが先行するが、髙田真希のインサイドは実績の差がある中田では止められずに追い付かれる。ただ、デンソーのもう1人の得点源である赤穂ひまわりは、宮澤夕貴がこちらも実績の差で完璧に抑え込み、優位を作らせない。
そこから均衡を破るきっかけを作ったのは先発ポイントガードの宮崎早織だ。守備から攻めへの切り替えのスピードを早め、デンソーの守備が整わないうちに仕掛ける。「宮澤選手と岡本(彩也花)選手が厳しくマークされて、自分は空くと思った。練習してきた3ポイントシュートをいつも通り打とうと思った」と語る宮崎は、速い展開を作り出すだけでなく自ら果敢に仕掛けて得点を重ねていった。
さらにはボールへの執着心でENEOSが上。特にオフェンスリバウンドには全員が身体を張り、セカンドチャンスポイントを重ねることでデンソーのメンタルを削っていった。
司令塔の宮崎早織、25得点のトリプル・ダブル
42-30で迎えた後半、デンソーはディフェンスを修正してイージーシュートの機会をほとんど与えなくなるのだが、ENEOSは攻めあぐねる展開になっても自分たちの軸足をディフェンスに置いているため、思い通りにいかない時間帯にも精神的に崩れない。第3クォーター途中に6点差まで詰め寄られたENEOSだったが、中村がスティールからのワンマン速攻を決めたのを機に一気に勢い付く。受け身に回ったデンソーは髙田を休ませなければいけない時間帯でベンチに下げたことも重なり、プレーの強度を落としてしまった。この間に宮崎の3ポイントシュート、チームで崩して中田のミドルジャンパー、セカンドチャンスからの宮澤の3ポイントシュートとENEOSは10-0のランで突き放す。
第4クォーターを迎えた時点で64-49。デンソーは髙田が19得点13リバウンドを記録するも、チームとしては最後まで噛み合わない。終盤もENEOSを慌てさせるには至らずに敗れている。
ENEOSの梅嵜ヘッドコーチは渡嘉敷不在の状況で「高さがないので平面を制するぞと、スピードと動きを強調しました。髙田選手へのマークを徹底できた」と勝因を語るとともに「選手たちが本当によく頑張ってくれました」とチームを称えた。
その筆頭が宮崎だ。ゲームハイの25得点に加え、10リバウンド11アシストのトリプル・ダブルを記録。38分とほぼフル出場だったが最後までスピードは落とさず、司令塔としてチームを力強く牽引した。
明日15時開始の決勝では、日立ハイテククーガーズとトヨタ自動車アンテロープスの勝者と対戦する。
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