文=鈴木健一郎 写真=Getty Images

圧倒的な能力を持つ相手チームのエースをどう封じるか

リオ五輪で素晴らしいパフォーマンスを見せる女子バスケットボール日本代表。ただ、ここまで4試合を戦って2勝2敗。オーストラリア戦の試合後にエースの渡嘉敷来夢が「もう2敗もしているので負けたくない」と語ったとおり、健闘しただけで終わるのではなく、勝利という結果が欲しいところだ。

では、日本に何が足りなかったのか。トルコのラトーヤ・サンダース、オーストラリアのエリザベス・キャンベージ。相手のエースを抑え切れず、大量点を奪われたのが直接的な敗因だ。

2日前の日本vsトルコ、サンダースは日本を相手に36得点を挙げた。これはオリンピックにおける1試合の得点記録で4位の数字。ところが今日、サンダースのこの記録は5位に転落してしまった。キャンベージがその記録を塗り替える37得点(歴代3位タイ)を日本から奪ったからだ。今後、日本代表が世界のトップレベルと対等に渡り合うには、サイズがある上にアスリート能力も備えた相手のエースを何とかして抑える必要がある。

鮮やかな逆転勝利を収めた試合後、殊勲のキャンベージはこうコメントしている。「試合が終わるまで何点取ったか知りませんでした。出来には満足していません。前半にはひどいディフェンスをしてしまったので、そこはしっかり反省して修正する必要があります」

「スピードがあるし、どこからでもシュートを打てる日本は、本当に嫌なチームでした。彼女たちには敬意さえ感じます。高さのハンデをスピードでカバーして、前半は私たちより良いゲームをしました。こちらにとってはかなりフラストレーションの溜まる展開でした」

そう、相手を苦しめることはできていたのだ。オーストラリアにとって薄氷の勝利だったことは間違いない。だが、勝ったのはオーストラリアであり、キャンベージだ。彼女は勝因をこう語る。「チームとしてしっかりとまとまっていたこと。あとは神のおかげです」

キャンベージのような優れた選手を苦しめるところまではできている。第1ピリオドと第3ピリオドには仕事をさせなかった。決して少なくない時間帯、日本はキャンベージを封じていたのだ。しかし、ケアし切れなくなった時間帯にすさまじい勢いで得点を奪われ、それが悔しい敗戦につながった。37得点のうち18得点が第4ピリオドに挙げたもの。あとは第2ピリオドの終盤にも得点が集中している。

この時間帯をどうコントロールしていくか。個人のディフェンス能力も必要だが、サイズの不利は前提条件。むしろチームとしてどう対応するかが問われる。また、高いレベルで拮抗できるようになった今、勝敗を分けるのは「試合巧者であるかどうか」だ。日本は攻守に素晴らしいパフォーマンスを見せているが、最も重要な終盤に「ブラックアウト」してしまうようでは勝利はおぼつかない。

グッドルーザーから勝者に変われるかどうか。フランス戦はそれが問われる一戦となる。

髙田と渡嘉敷のダブルチームで抑え切れない場面も。チームとして相手の長所を消す方策が欲しいところだ。