ヤニス・アデトクンボ

「ミルウォーキーで目標を成し遂げたい」

去就が注目されていたヤニス・アデトクンボが、バックスと5年2億2820万ドル(約240億円)という超大型契約を結んだ。NBA史上最高額のスーパーマックス契約を結んだアデトクンボは、キャリア全盛期をバックスでプレーすることを決めた。その理由は、NBAでプレーするという夢をかなえてくれ、一族を養えるだけの経済的なサポートをしてくれた球団に対する恩、そしてミルウォーキーへの愛だった。

契約発表後の会見で「ここミルウォーキーで目標を成し遂げたい」と語った彼は、以前からバックス愛を言葉にしてきた。アデトクンボは「球団に忠誠を尽くすのはとても大事。球団は僕の才能を信じてくれているし、家族を経済的に支えてくれている。恩返ししたい。この街が大好きだし、チームメートとのプレーも大好き」とコメント。他チームへの移籍に関する質問には、こう答えた。「どこに行っても優勝が約束されているわけではない。もしかしたら10年たっても、一度も優勝できていないかもしれないし、5回優勝しているかもしれない。とにかく、僕は自分が信じていることを貫きたい。周りの人のことを信頼しているからね」

今年の誕生日には、残留を求めたチームメートのクリス・ミドルトン、パット・カナトンから契約の時に使うペンをプレゼントされた。今回の契約時にそのペンを使ったかどうかを聞かれると「たいていの場合、契約する時には球団がペンを用意してくれるから使っていないんだ」と話したアデトクンボだが、延長契約が発表された直後にミドルトンから連絡をもらった時のエピソードを語った。

「チームメートには、発表されるまで伝えていなかった。契約発表後に最初に話したのはクリス。フェイスタイムで話をしたんだけれど、彼が娘さんを連れていて、僕が大金を手にしたから『ヤニス、ウチの娘がそっちに嫁いでもいいよ』みたいな冗談を言っていたよ」

過去の歴史を振り返ると、バックスでスターに成長した選手は移籍するケースが多かった。だがフランチャイズプレーヤーになり、2年連続シーズンMVPを受賞したアデトクンボは、キャリア全盛期を球団に捧げることを決断。残留を決めた理由を問われた彼は、1年目の時に見た光景が今も脳裏に焼き付いていると答えた。

「子供たちが自分のジャージーを着て街を歩いている姿を初めて見たのは18歳の頃で、その光景が今も脳裏に残っている。退団した選手のジャージーを燃やすファンもいるけれど、僕は自分のファン、幼いファンにそんなことをしてもらいたくはない。子供たちが僕のジャージーを着てくれているのを見るとうれしいよ」

言葉と行動でミルウォーキー愛を表したアデトクンボは、1971年以来の優勝を目指し、全力を尽くすことを約束している。「僕はここにいたい。チームメート、球団のために優勝する力になりたい」