ヤニス・アデトクンボ

「これからの5年間、バックスの一員でいられるのがうれしい」

ヤニス・アデトクンボはバックスとのスーパーマックス契約に合意した。契約は2021-22シーズンに3934万ドル(約40億円)からスタートし、毎年8%の昇給を得て契約最終年となる2025-26シーズンには5193万ドル(約55億円)に。最終年はプレーヤーオプションだが、5年で2億2820万ドル(約240億円)という超大型契約。同時に、これはNBA史上で最大の契約となる。

スーパーマックス契約を最初に結んだのはステフィン・カリー。ジェームズ・ハーデン、ジョン・ウォール、ラッセル・ウェストブルック、デイミアン・リラードが続いており、アデトクンボは6人目のケースとなる。

契約を決めた彼は、自身の気持ちをSNSに投稿している。「ここが僕の家で、僕の街だ。これからの5年間、バックスの一員でいられるのがうれしい。この期間を意味あるものにしたい。ショーは続く、成し遂げるんだ」

2年連続のシーズンMVPを受賞した彼は、ルーキーイヤーから7年間プレーしたバックスに大きな愛着を感じており、残留が既定路線ではあった。それでもここまで意思決定が長引いたのは、自分のキャリアを考えて『NBA優勝を狙えるチームかどうか』を確かめたかったからだろう。これを受けてバックスは、アデトクンボの期待に応える補強を推し進めた。今オフの注目株の一人だったドリュー・ホリデーとの契約にこぎ着け、DJ・オーガスティン、ボビー・ポーティス、トーリー・クレッグ、ブリン・フォーブスと脇を固める選手も補強。アデトクンボがあくまで中心である形は変えず、選手層を強化することで、彼の決心をうながした。

アデトクンボ自身がバックスに忠誠を誓っていても、退団の噂は絶えなかった。バックスのファンの多くも内心では不安を抱えていただろう。ミルウォーキーは田舎の小都市で、NBAのスター選手が好んで暮らす土地ではないと彼らは自虐的に考えている。アンソニー・デイビスがペリカンズに、カワイ・レナードがスパーズを離れたように、スーパーマックス契約の権利を放棄しても、自分が望むチームへと移籍するケースが相次いでいたことも重なって、アデトクンボがプレーヤーとして成長すればするだけ、地元ファンは「出て行くのではないか」との疑念を強くしていた。

それだけに、アデトクンボと地元ファンの結び付きは、これまで以上に強いものとなるだろう。バックスのピーター・フェイギン球団社長は「バックスにとって最高の日となった」とコメントしている。