3ポイントシュートを封じ、インサイドで踏ん張る
滋賀レイクスターズがホームに宇都宮ブレックスを迎えた第2戦。今節を迎える時点で過去8試合を戦って1勝7敗と分の悪い相手で、前日の第1戦でも時間が経過するにつれて力の差を見せ付けられる形での敗戦を喫していた。それでもこの試合の滋賀は、攻守に完璧なプレーを40分間遂行。過去最高とも言える勝ち方で87-73と快勝した。
第1戦と比べて目に見えて変わったのは3ポイントシュートで、遠藤祐亮、LJ・ピーク、渡邉裕規と確率の良い選手にはチェックを徹底して打たせなかった。初戦では3ポイントシュートを9本を決められたが、今日は2本へと減らしている。
こうして宇都宮の攻めはインサイドの力押しが中心となった。滋賀の外国籍トリオはアンガス・ブラントこそ208cmあるが、ジョーダン・ハミルトンは201cm、ガードのジョナサン・オクテウスは193cmで、高さとフィジカルでは宇都宮の外国籍トリオ(ジョシュ・スコット、ジェフ・ギブス、LJ・ピーク)に帰化選手のライアン・ロシターに太刀打ちできない。しかし、日本人ビッグマンの頓宮裕人と今川友哲も含めて、滋賀はパワーで勝負せずに機敏な動きで良いポジションを取り、リバウンドはティップで繋ぎ、宇都宮のビッグマンに抵抗した。
ガード陣のファウルも有効に使い、宇都宮オフェンスにストレスを与え続ける。これで宇都宮は個人で攻めすぎたり、リズムの悪いまま確率の低いシュートを打たされたりと、本来のプレーを出せなかった。
一方で、自分たちのオフェンスではスピードと連携の良さを最大限に生かす。序盤はジョーダン・ハミルトンが得意の3ポイントシュートで攻め立て、そちらに警戒が集まると今度はオクテウスがスピードに乗ったドライブを仕掛けた。
また指揮官ショーン・デニスの采配も光った。1点ビハインドの第2クォーター残り35秒でタイムアウトを取り、セットしたのは頓宮の3ポイントシュート。身体を張って繋ぎの役割を果たす頓宮は、シュートを放つ機会がほとんどない選手であり、一応ロシターが付いてはいたが、プレッシャーを掛けるには遠すぎた。頓宮は左コーナーからの3ポイントシュートを落ち着いて沈め、滋賀が作戦的中で逆転に成功する。
エースのジョーダン・ハミルトンは31得点を記録
前日には第2クォーターと第3クォーターで崩れた。フィジカルやスキルで押されたというより、宇都宮の遂行力の高さに根負けして集中力を切らした形だったが、この日は全員がディフェンスから隙を見せない。ベテランの狩俣昌也と伊藤大司が試合をコントロールし、ハミルトンがチャンスを次々と得点へと繋げていく。同時に彼に過度に依存することなく、若い前田怜緒が思い切りの良いアタックを繰り返すなど、バランスの良さも光った。
第3クォーターを勝負どころと見なした滋賀は主力選手を引っ張り、第4クォーター開始時点で65-51とリードを奪う。その後にハミルトンを一度ベンチに下げた時間が、宇都宮にとっては挽回の大きなチャンスだったはずだが、ここでもブラントとオクテウスが奮起し、ペイント内で互角の攻防を演じる。
スコットのポストアップにヘルプなしで対応した狩俣が踏ん張り、結果的にスコットのオフェンスファウルを引き出したり、オクテウスのアタックからシュートが外れたリバウンドにブラント、頓宮が食らい付いたり、ガードの村上駿斗が飛び込んでゴール下でのキャッチ&シュートを決めたり。宇都宮が圧倒的に優位であるはずのリバウンドでも、一つたりともイージーには与えないという気迫をすべての選手が出していた。
宇都宮も2桁のビハインドを背負いつつも、主導権を一度握れば一気に引っくり返す迫力は秘めていた。第4クォーターのオフィシャルタイムアウト明けに仕掛けたオールコートプレスは、その主導権を取りに行く手段だったが、滋賀はここもガード陣に限らず全員でパスコースを作り、ボールを繋いでターンオーバーを犯さない。
残り1分半、11点リードの場面でのハミルトンのフリースロー。これがリングに嫌われるも、ハミルトンはLJ・ピークとロシターの間でタイミング良くリバウンドを奪取。ロシターがこれに対して後方からチャージしてしまい、アンスポーツマンライクファウルをコールされる。これで宇都宮は戦う気力を失ってしまった。
滋賀は4連敗を最高の形で止めた。この試合で3ポイントシュート成功6本を含む31得点を挙げたハミルトンという絶対的なエースを擁しながら、そこに依存しないオフェンスは計算できる。あとは今日のようなディフェンスの精度、リバウンドへの執着心を継続して出せるようになれば、勝率を5割に戻し、さらに上を狙うこともできそうだ。