ファクンド・カンパッソ

理想のシナリオはジャマール・マレーとの2ガード起用

昨年夏に行われたワールドカップで、アルゼンチンは準優勝と躍進を遂げた。その司令塔、ファクンド・カンパッソがナゲッツと契約を結んだ。レアル・マドリーで戦ってきた経験もあり、満を持してのNBA挑戦となる。

その彼がナゲッツのキャンプに合流し、会見に応じた。「やっとここに来ることができた。今は本当に幸せだ。小さな子供みたいな気分で、夢が実現してワクワクしている。このチームのために努力し続けたい。簡単じゃないだろうけど、自分のプレーでチームに貢献したいんだ。今はチームメートと話して、お互いを理解するよう努めているよ」

ヨーロッパでの経験、そしてワールドカップで得た自信が、彼をNBA挑戦に押し上げることになった。「なるべく早くNBAに行きたいという夢を持っていた。ワールドカップでは決勝で負けてしまったけど、僕個人としてもチームとしても大きな意味のある大会で、NBA入りを大きく後押ししてくれた。スペインで過ごしたシーズンももちろん大きかった」

もっとも、レアル・マドリーとアルゼンチン代表では評価を確立したポイントガードであっても、ナゲッツでは新人の立場。ナゲッツの先発ポイントガードにはエースのジャマール・マレーがいて、2番手には『バブル』で結果を出したモンテ・モリスがいる。マレーはどこからでも点の取れるシュート力が持ち味で、モリスはドライブで切ってチャンスを作り出せる選手だ。カンバッソはディフェンス力を前面に押し出し、ポイントガードの3番手、そしてシューティングガードとしてプレーすることになりそうだ。

「どんな役割を果たすか、まだコーチからは何も言われていない。状況に合わせて自分のディフェンス力やスペインでの経験を出せればと思う。このチームではジャマールとモンテ、そして(ニコラ)ヨキッチがボールを持つだろうから、オフ・ザ・ボールの動きを向上させることでチームに貢献したい。常に100%のプレーを心掛けるよ。ボールを全力で奪いに行き、ハードにディフェンスするんだ。相手のサイズには関係なく、毎試合で100%を尽くすよ」

ナゲッツで彼の実力を最もよく知るのはヨキッチだろう。セルビアはワールドカップの準々決勝でアルゼンチンに敗れている。2人がマッチアップするシーンもあった。「ここに来てニコラとは初めて話した。ナイスガイだよ。彼のバスケIQの高さを生かすようなプレーをしたい。彼は周りの選手を生かすタイプ。その彼の特徴を僕も生かしたい」

実力も実績も申し分ないカンパッソだが、ヨーロッパとNBAのバスケのスタイルの違いに順応することが第一になる。自分の良さを消すことなく、NBAのプレーに合わせなければいけない。「一番の違いは試合のペースだ。NBAはプレーのスピードがすごく速くて、まだ慣れない。マドリードではスローなバスケットボールだったけど、ここでは走ってスペースを作り、正しいポジションにつくこと、ハードなディフェンスが大事になってくる。アジャストするのは簡単ではないけど、ベストを尽くすよ」

そう話す彼の表情は明るく、NBA挑戦に対する気持ちの高揚だけでなく、NBAでも十分に通用するという自信が感じられる。NBAでは実績ゼロからのスタートとなるが、国際舞台で発揮していた力をそのまま出せれば、スタートで起用されてもおかしくない。ナゲッツは昨シーズンのポストシーズンで大躍進を見せたが、選手層はより分厚くしたい。カンパッソにとって最良のシナリオはマレーとの2ガードで、ディフェンス面でマレーの負担を減らしながら、ディフェンスとゲームメークで貢献することだろう。バックコートでカンパッソが存在感を強めれば、それはそのままナゲッツのチーム力アップに繋がる。