「後半はやり返すぞという気持ちで切り替えました」
川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞と言えば、チームの流れを変える爆発的なオフェンス力と、前線からプレッシャーを与える攻めのディフェンスが持ち味の選手だ。
12月6日のレバンガ北海道との第1戦、川崎は前半で10ターンオーバーを犯すなどリズムをつかみきれない時間帯が続いた。それはチームだけでなく藤井も同様で、第1クォーターで2本のターンオーバーを犯してしまい、勢いを与えるのではなく、その雰囲気に呑まれていた。
藤井は「本当に前半はただの僕のミスでした」と反省する。「相手にどうディフェンスをされたからミスしたとか、プレッシャーをかけられてミスしたとかではなく、単純なハンドリングミスだったり、コミュニケーションミスでターンオーバーになってしまいました。ただ単に僕のミスだったので、後半はやり返すぞという気持ちで切り替えました」
藤井が「やり返すぞという気持ちで」とコメントしたように、1ポゼッションを争う展開が続いたが、川崎はラスト5分からエナジー溢れるプレーを見せ、接戦をモノにした。最初のきっかけを作ったのはマット・ボンズのプレーだったが、それに続くように藤井は積極的なペイントアタックを行い、体勢を崩しながらもシュートをねじ込み、2本連続でバスケット・カウントをもぎ取った。さらに、決定打となった熊谷尚也のダンクシュートをお膳立てするなど、最終クォーターは5分56秒の出場で6得点2アシストを記録し、勝利に貢献した。
「最後の場面でアタックしてシュートを決めたり、熊谷選手が良いカッティングをしてくれたのでアシストを出せました。そこは良い状況判断はできていたと思うので、後半のその部分は良かったと思います」と振り返るが、藤井は満足していない。
「前半は3ポイントシュートを良い形で打てていたのに、全部入りませんでした。試合の中で入らなくても、勝負どころで1本、2本決められるようになれば、もっともっと効果的なドライブもできると思うので、勝負どころで決めることができれば良かったなと思います」
「今はチームとしてすごく良い状態になってきている」
この試合で藤井は12得点を記録しチームに勢いを与えたが、バイウィーク前の15試合のうち2桁得点を挙げたのは5試合のみ。それだけでなく、プレータイムにもムラがあったりと、いわゆる『藤井らしさ』を出せない日々が続いた。
「個人的にはアタックする姿勢だったり、レフェリーの笛にフラストレーションを溜めてしまったり。ここからという時にファウルをして、ベンチに下がったりすることが多くあって、コート上で上げていくことができませんでした」と、藤井は勢いに乗り切れなかった時期を振り返った。
「そこは僕の切り替えが必要だと思いますが、チームとしてもなんか乗り切れず、勢いが途中で途切れてしまったり元気がない部分がありました。そこに僕も一緒になってしまって、勢いを与える側ではなく、チームと沈んでいくような感じがあって。チームとしても個人としても勢いに乗り切れなかった部分があります」
それでもバイウィーク中は、持ち味のアグレッシブさを取り戻すべく、「初心に戻るじゃないですけど、積極的にアタックする中でコントロールするところをもう一度あらためてやろうと考えてやってきました」と話す。そして昨日のレバンガ北海道戦では持ち味のアグレッシブさを発揮して『藤井らしさ』を出しつつ、勝負どころでは全員がハッスルする『川崎らしさ』をチームから引き出した。
藤井は言う。「本当に今はチームとしてすごく良い状態になってきていると思います。バイウィーク前の15試合があれだけ悪かったので、あとは上がるだけ。チャンピオンシップに向けてどんどん上げていきたいと思います」
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