サンロッカーズ渋谷

18点あったリードを3点差まで詰められる展開に

12月2日、サンロッカーズ渋谷はブレイク明けの初戦に横浜ビー・コルセアーズと対戦。第4クォーターに猛追を受ける課題はあったが、試合全体を通して見ると持ち味のプレッシャーディフェンスが機能し87-72と地力の違いを見せて勝利した。

第1クォーター、横浜はビッグマンのロバート・カーターがボール運びをすることで、SR渋谷の持ち味である前からの激しいプレッシャーディフェンスをうまく回避する。ともに外角シュートは決まらないが、ゴール下へのアタックで得点して互角のスタートとなる。

だが、第2クォーター序盤、SR渋谷のプレッシャーディフェンスがハマって得意のトランジションに持ち込み開始2分半でリードを2桁に広げる。その後も素早いパス回しでスペースを作りだし、インサイドでチャールズ・ジャクソンが得点を決めるなど、チームオフェンスが機能したSR渋谷は着実に得点を重ねてリードを保って前半を終える。

後半に入ってもSR渋谷のペースで試合は進み、第3クォーター残り5分17秒にはジェームズ・マイケル・マカドゥの豪快なダンクで18点差にまで突き放す。このままSR渋谷の圧勝かとも思われたが、ここから横浜の逆襲が始まる。

「ピック&ロールで相手のハードヘッジ(スクリナーをマークしていた選手がボールを持っている選手を止めにいく対策に)苦しんだが、そこで早くパスを出すことを意識しました」と横浜の指揮官カイル・ミリングと語るように、ガード陣が効果的にパスを供給できるようになったことで、この試合で24得点を挙げたパトリック・アウダを軸に猛反撃。

第4クォーターのオフィシャルタイムアウト時には、SR渋谷のリードはわずか3点になってしまう。だが、このタイムアウトを契機に、「本来のやるべきことを取り戻せました」と伊佐勉ヘッドコーチが語ったように、SR渋谷はこの試合で22得点のライアン・ケリー、27得点のジャクソンを軸に残り4分から怒涛の連続12得点。さらにオフィシャルタイムアウト明けはわずか2失点に抑えることで、粘る横浜を振り切った。

サンロッカーズ渋谷

『知らんぞ俺は、自分たちで勝手にどうぞ』という初めての感情

「バイウィーク期間中に細かいところを見つめ直した良い練習ができました。その流れで前半の20分は練習の成果をしっかり出せましたが、後半の20分は詰められてしまった。総じて前半の20分しか持たなかった。40分間、しっかり強度を維持しないとこのリーグでは勝ちきれないです」と、SR渋谷の伊佐ヘッドコーチは勝利にも反省しきり。

第4クォーターに猛追を許してしまった点については、こう振り返った。「リラックスはしていなかったですが、スコアを見出して余裕を持ちながらプレーしてしまっていました。第4クォーターに入った時、『このままだと残り5分で逆転される』と言っていて案の定、3点差まで詰め寄られてしまった。そこで意地になってタイムアウトを取らなかったですが、オフィシャルタイムアウトに助けられました」

さらにタイムアウトを取らなかった時の心境について「『知らんぞ俺は、自分たちで勝手にどうぞ』という初めての感情ですごくイライラしていました」と率直な気持ちを明かす。最終的なスコアでいえば15点差の快勝ではあるが、SR渋谷にとってはリーグ上位進出に向け、あらためて気を引き締めないといけない一戦となった。

サンロッカーズ渋谷

「どうやって惜しい試合をモノにできるかを学ばないといけない」

一方、横浜のミリングヘッドコーチは、こう振り返る。「ディフェンスが激しく来るのは分かっていましたが、その中で対応に苦しむ場面が何回かありました。その中で正しいスペースを取ったり、やらなければいけないことを行うことで簡単に点を取れ、終盤に3点差まで追いつめましたが、トランジションで簡単に得点を許してしまった。どうやって惜しい試合をモノにできるかを学ばないといけない」

また、オフィシャルタイム明けの失速を「最後は自分たちのオフェンスがすべて1対1になってしまい良い形でシュートを打ちきれなかった。相手はチームとして攻めることができていました」と語る。

もちろん試合に負けた以上、満足できるものではないが、今回のブレイクはコロナ禍で来日が遅れたミリングヘッドコーチにとって、合流後に集中して練習を積み重ねることができた初めての期間だった。この間も故障者などが出てフルメンバーでの練習は難しかったが、今回の追い上げにはチーム力が高まっている片鱗が出ていた。特に生原秀将とアウダのピック&ロールは、大きな武器となる可能性を見せるものだった。