川崎ブレイブサンダース

フリーを作らない完璧なディフェンスローテーション

リーグ再開の目玉カードとなった宇都宮ブレックスvs川崎ブレイブサンダース。川崎は40分間強度を落とさない完璧なローテーションで、宇都宮のお株を奪う鉄壁のディフェンスを披露。オフェンスでも連動したチームバスケットで上回り、67-60の超ロースコアゲームを制した。

試合序盤、宇都宮は得点源のニック・ファジーカスにボールを入れさせず、パブロ・アギラールから連続でターンオーバーを誘発。思い切り良く放つシュートが高確率で決まり、開始3分で10-2とスタートダッシュに成功した。しかし川崎は、藤井祐眞が2本の3ポイントシュートを沈めて繋ぐと、途中出場のマット・ボンズがボールプッシュにインサイドでの得点と躍動。ボンズはテーブス海から24秒バイオレーションを、竹内公輔からオフェンスファウルを誘発するなどディフェンスでも効果的な働きを見せた。こうしてリズムをつかんだ川崎が17-13と逆転した。

ジェフ・ギブスのブロックショットから生まれた宇都宮の速攻を篠山竜青がハリーバックして防ぐなど、互いに激しい守り合いが続く。第2クォーター開始から約3分間得点が動かず、前半を終えて川崎が27-22とリードする、超ロースコアな展開となった。

後半も川崎のディフェンスが光る。スクリーンでズレを作られても素早く正確なローテーションで守り抜き、フリーでシュートを打たせなかった。その結果、宇都宮は打つタイミングを逸し、オフェンスを作り直すことでショットクロックが短くなり、良いリズムでシュートが打てなかった。

川崎も宇都宮のディフェンスに苦しめられたが、オフボールの動きからイージーシュートの機会を多く作り出したことで点差を広げ、最終クォーター開始1分に増田啓介のミドルシュートが決まり、この試合最大となる14点のリードを奪った。

その後、ジョシュ・スコットのインサイドプレーや比江島慎のドライブを許し、残り1分で5点差まで迫られたが、ここでファジーカスが2本のフリースローを成功させて突き放す。残り42秒、遠藤祐亮がフリースロー2本を外して勝負アリ。激しい守り合いを制し、宇都宮の連勝を10で止めた。

宇都宮は2桁得点者が10得点のロシターのみ。さらにここまで1試合平均20.9アシストを記録していたが、この試合では10アシストに留まった。こうした数字を見ても、川崎のディフェンスがいかに機能していたかが分かる。

川崎は試合前、長谷川技が全治2週間から3週間程度のケガを負ったことを発表したが、そんな暗いニュースを吹き飛ばす、『川崎らしさ』をコート上ではっきりと示した快勝劇だった。