マット・ボンズ

ファジーカス「今の自分たちに必要なピース」

川崎ブレイブサンダースはマティアス・カルファニが全治未定の左足底筋膜断裂を負い、11月11にはジョーダン・ヒースが左腓腹筋肉離れで約6週間の離脱とのリリースが発表され、2人の外国籍選手が不在という危機的状況に陥った。

川崎は2人の穴を埋めるため、佐賀バルーナーズでプレーしていたマット・ボンズを獲得。その彼は昨日の富山グラウジーズ戦でデビューを果たした。

ボンズは196cmと外国籍選手としては小柄だが、ニック・ファジーカスのアシストからアリウープを成功させ、ブロックショットも見せるなどアスリート能力に長けている。ボールをプッシュし、フィジカルの強さも見せ、16分間のプレータイムで11得点5リバウンド(3オフェンスリバウンド)を記録し、勝利に大きく貢献した。

佐藤賢次ヘッドコーチは「チームにエナジー、勢いを与えてほしいということで合流してもらって、その通りのプレーをしてくれました。ルーズボールに飛び込んだり、リバウンドに絡んだり、いろんなところで手を出したり、そういうところですごく貢献したので、デビュー戦としては良い試合になったと思います」と、高い評価を与えた。

ボンズ自身も「B1でやれる手応えはつかめた」と自信を深めた。「僕のプレースタイルはエナジーを持ってプレーすること。考えるというより、僕のエナジーが合わせやボールプッシュからのドライブに繋がっていると思う。素晴らしい選手が周りにいるので、僕ができることと周りが僕を生かしてくれることが重なって、今日の結果に繋がった」

ボンズ自身も言うように、チームメートとすでに連携が取れている点には驚かされた。2桁得点を記録したが、個人技ではなくチームプレーから生まれたものが多かった。大黒柱のニック・ファジーカスもチームプレーヤーに徹している部分に好感を得ている。「正直、彼がどれくらいできるかは未知数だった。エナジーがありプッシュもできる。自分のプレーではなく、チームのセットプレーや仕組みを覚えて、自分をどう最大限に生かせるかを考えている。今日のプレーを見る限り、チームプレーヤーだと感じていて、今の自分たちに必要なピースだと思う」

Bリーグでは外国籍選手の多くが得点やリバウンドなど、個人能力によるものを求められることが多い。もちろん、ボンズもそうした働きは求められているが、彼自身は数字に表れない仕事も多くこなし、チームレベルを底上げできるようにしたいという志を持っている。

「チームにフィットすることが僕の長所。スクリーンをかけたり、ダイブしたり、細かいところでチームの総合力を上げていくのが僕の役割だと思っている。自分が求められていることを理解し、自分の役割に徹することが大事で、今後もそういう目線で僕を見てほしい」

様々なルールがある中で、即座にチームにフィットすることは簡単なことではなく、いきなり結果を出すことは難しい。B2からB1に戦いの場を移したボンズにとってはなおさらだ。それでも、デビュー戦で結果を出せたのは彼がエゴのないチームプレーヤーであるからだろう。カルファニとヒースの離脱は間違いなく痛手だが、ボンズはこのピンチをチャンスに変えられる存在なのかもしれない。