東藤なな子

「メンバーに選ばれたいという気持ちが強くなった」

「前回落ちて、正直もうチャンスはないかなと思っていた」。こう語るのはバスケ女子日本代表候補の東藤なな子だ。

バスケ女子日本代表は、来年開催を予定している東京オリンピックに向けて強化合宿を行っている。東藤は、今年2月にベルギーで開催された東京オリンピック予選(OQT)に向けた強化合宿に続き、今回も代表候補に選出された。まだ19歳と若い東藤は前回がA代表初招集で、当時は「次のパリオリンピックを目指して頑張ろうと思っていたら、いきなりチャンスが来たので心の準備が必要でしたけど、このチャンスは逃したくないです」と、東京オリンピック出場に向けて意気込んでいた。

しかし、東藤はOQTの出場メンバー12名に残れなかった。当時は新型コロナウイルスが感染拡大の兆しを見せ始めた時期で、東京オリンピックは2020年夏に予定通り開催される想定だった。オリンピック本番まであと半年という時につかんだチャンスを生かせなかったのだから、東藤が「もうチャンスはないと思った」と感じるのも当然だ。

それでもその後、新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京オリンピックの開催が1年延期となった。今回、約9カ月ぶりに行われた強化合宿で東藤は招集メンバーへと返り咲いた。今回のメンバーは初招集や若手が多く、トム・ホーバスヘッドコーチが「本当にトライアウトです」と言うように、東京オリンピック出場をかけたメンバー争いが行われている。

東藤なな子

「成長した姿を見せられるチャンス」

東藤は「前回の合宿よりは余裕を持って参加できていて、役割であるドライブを積極的に狙っていけていると思います」と合宿の手応えを語る。東京オリンピックの1年延期は選手によってとらえ方は様々だが、メンバー入りへの道を閉ざされたと思っていた東藤は「延期の1年がプラスになっています」と言う。

「前回の1月の合宿の時に比べて、3ポイントシュートやドライブからのアシストを強化してきました。そこは自分の強みになってきているので、この1年間でもっと磨いてオリンピックのメンバーに選出されるように頑張りたいです」

実際に、リーグ戦での東藤の3ポイントシュートとアシストの変化は明らかだ。昨シーズンは16試合で3ポイントシュート50本中15本成功、アシストは32だったが、今シーズンはまだ10試合しか終えていないにもかかわらず、3ポイントシュート42本中14本成功、アシストは28と昨シーズンを上回る勢いだ。

成長した姿をアピールできれば、オリンピックへの道は開けてくる。東藤は言う。「今回、また合宿に呼ばれて、自分が成長した姿を見せられるチャンスだと思いました。一回一回のプレーを無駄にせず、このチャンスを生かして自分をアピールしていきたいです」

「前回よりも、合宿で自分を出していきたい、メンバーに選ばれたいという気持ちが強くなったので、この合宿で後悔のないように自分を出し切りたいです」

女子日本代表

第1次強化合宿メンバー
髙田真希(C /デンソーアイリス)
渡嘉敷来夢(PF /ENEOSサンフラワーズ)
小菅由香(PF /三菱電機コアラーズ)
内野智香英(SG/富士通レッドウェーブ)
町田瑠唯(PG/富士通レッドウェーブ)
宮澤夕貴(SF/ENEOSサンフラワーズ)
谷村里佳(PF/日立ハイテククーガーズ)
本橋菜子(PG/東京羽田ヴィッキーズ)
三好南穂(PG/トヨタ自動車アンテロープス)
長岡萌映子(PF/トヨタ自動車アンテロープス)
北村悠貴(SG/日立ハイテククーガーズ)
根本葉瑠乃(SG/三菱電機コアラーズ)
馬瓜エブリン(SF/トヨタ自動車アンテロープス)
小池遥(PG/シャンソン化粧品シャンソンVマジック)
宮崎早織(PG/ENEOSサンフラワーズ)
佐藤奈々美(SF/日立ハイテククーガーズ)
水野妃奈乃(SG/シャンソン化粧品シャンソンVマジック)
赤穂ひまわり(SG/デンソーアイリス)
オコエ桃仁花(PF/富士通レッドウェーブ)
梅木千夏(PG/アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス)
東藤なな子(SG/トヨタ紡織サンシャインラビッツ)