「東海大らしいディフェンスを全員が意識してやれた」
東海大の『大物ルーキー』河村勇輝は、大学生として初の公式戦となった今回のオータムカップでシックスマンを務め、チームの優勝にしっかりと貢献した。
11月7日に行われた大東文化大との決勝戦においても、第1クォーター終盤からコートに立つと、持ち前の機動力を生かした平面での激しいディフェンス、そしてスピード抜群のボールプッシュと軽快なパスさばきを披露し、攻守に渡ってチームによいリズムをもたらしている。
この決勝戦でのスタッツは19分38秒の出場で、7得点2アシスト2リバウンド2スティール。昨年、Bリーグの三遠ネオフェニックスでプレーし、2桁得点を安定して記録していた河村だけに、先発でないことに驚く見方もあるかもしれない。ただ、陸川章ヘッドコーチが「コロナウィルスの影響で1年生は半年間、東海大のバスケットボールをする期間は少なかったです」と語るように、他の選手との連携面を考え、また過度なプレッシャーを与えない意味でも妥当な選択だろう。
大学生プレーヤーとして順調なスタートを切った河村は、試合後に「しっかりと東海大らしいディフェンスを全員が意識してやれたことが、この結果に繋がった」と勝因を語る。
圧勝での優勝が示すように、河村にとって周囲の期待にしっかり応えたオータムカップとなった。ただ、本人は当然のように現状に満足はしていない。「これから一番大事なインカレに照準を向け、頑張っていきたいです」と、優勝直後にもかかわらず視線は早くも大学王者へと向いている。インカレでの河村がより楽しみになる今大会でのプレーだった。
大倉颯太と組む相乗効果「価値観が合う」
東海大には河村と並ぶ大学界を代表するトップガードの大倉颯太がおり、今大会では2人のコンビネーションにも大きな注目が集まった。同時にコートに立つことによる相乗効果も魅力的だが、「ハーフコートでは大倉で落ち着いた流れを作り、河村でギアチェンジをできます」と指揮官が言及するように、ベンチスタートとなることで河村が圧倒的なスピードをより発揮できる利点もある。
「とにかくバスケットIQが高くて、そこを颯太さんからたくさん吸収している感じです」と大倉との関係を語る河村は、フィーリーングの良さを強調する。「感覚的に息が合っているところはあると思っています。『こうやって行こう』に合わせていなくても、お互いを分かった上でプレーできていると思います」
「練習中もそうですし、寮でも颯太だけではなくて、チーム全員で毎日の練習後にフィードバックして『こうだったよね』と一日の練習の後にやっているので、そういった毎日の積み重ねがこういう決勝やオータムカップの一試合一試合に繋がったと思います」と河村は続ける。
ちなみに普段から大倉のことを「颯太」と呼んでいるそうだ。「価値観が合うというか、寮の部屋も隣で、だいたいどちらかの部屋にいます。オフコートではバスケットの話よりは私生活の話、たまにバスケットの映像をどっちかが見ていた時に会話があったりして、プライベートで一番接しています」と語る。
大倉はずっと前から自分の試合も含めてNBAからBリーグまでありとあらゆるバスケの映像を見まくるタイプ。その大倉と常日頃から長い時間を一緒に過ごすことは、いろんなバスケのスタイルを知り、バスケIQを助ける意味でプラスになるはずだ。