敗北を認めないトランプにブラッドリー・ビールは「終わりだ」
コロナ下でのリーグ再開の舞台となった『バブル』では、『Black Lives Matter』のメッセージが盛んに発信されたが、選挙への投票を呼び掛ける『VOTE』のメッセージをユニフォームに入れる選手もたくさんいた。選挙で票を投じることで社会正義を実現しようというメッセージである。その選挙とは、当時から見れば数カ月後に迫っていたアメリカ大統領選を指す。そしてドナルド・トランプとNBAの対立関係を考えれば、それは間接的ではあれジョー・バイデンへの後押しだった。
バイデン優勢を作り上げるのに、NBA選手たちの発信がどれだけプラスになったのかは分からない。それでも、プロバスケットボールリーグをプラットフォームにして声を上げ続けたことが何らかのプラスになったのは間違いない。
トランプは以前から白人至上主義的な言動を繰り返しており、黒人に対する人種差別的な警察官の行為に抗議するNFLプレーヤーを侮辱したことが決定打となった。NBAプレーヤーの大半が『反トランプ』で一致していると言っていい。その筆頭がレブロン・ジェームズだ。
NBAプレーヤーの中でも最も発信力の大きいレブロンは、トランプとは以前から因縁がある。前回の大統領選ではトランプの対立候補である民主党のヒラリー・クリントンの応援演説に参加。当時、キャバリアーズに所属していたレブロンが、地元クリーブランドの応援演説に出ることで、オハイオ州の情勢に影響を与えたことは間違いない。その後、NBAで優勝したキャバリアーズはホワイトハウスを表敬訪問しなかった。レブロンは「トランプが大統領になるまで、ホワイトハウス訪問は名誉なことだったこの国には自由がある。行きたくなければ行かなくていい権利がある」と発言している。
レブロンは今回の大統領選に対して『More Than A Vote』という投票を促す団体を設立したものの、彼自身の意思表明はせずに情勢を見守っていたが、投票日間際になってバイデンの写真をSNSに投稿し、支持する姿勢を明確にした。
そして今回の大統領選でトランプの負けが決定的になりつつあった6日、勝利宣言とも取れるクリップのいくつかにコメントを付けて投稿している。勝敗を左右する最重要州と言われるペンシルバニア州、さらには共和党地盤のジョージア州でのバイデン優勢に対して、映画『バッドボーイズ2バッド』の大逆転シーンを引用し、「ジョージアとペンシルバニアに敬礼!」とコメントしている。
しかし、トランプ自身は「腐敗と詐欺に満ちた郵便投票が行われた。私は絶対にあきらめずに法的手段を取る」と、いまだ敗北宣言をしようとしない。これに対してはウィザーズのブラッドリー・ビールが、映画『ロッキー4』の「タオルを投げろ」のシーンを引用して「終わりだ」と投稿している。