「競争できるリーグだと感じて気に入っている」
デンソーアイリスは、週末のトヨタ紡織サンシャインラビッツ戦で勝利してレギュラーシーズン前半戦を締めくくった。
シーズン前半の戦績は8勝2敗で西地区2位と好調だ。しかし、チームは今シーズンから指揮を執ることになった現セルビア女子代表ヘッドコーチのマリーナ・マルコビッチが新型コロナウイルスの影響で入国できない日々が続き、チームに合流できたのは10月中旬だ。
それまではzoomを使用して練習を見たり、ミーティングをしていたというが、就任したばかりのヘッドコーチがオンラインだけで選手とコミュニケーションを取るのは難しい。マルコビッチヘッドコーチは「他のチームと比べても唯一、ウチはスタッフが揃うのが遅れました。私も(ヴラディミール)ヴクサノヴィッチアソシエイトヘッドコーチも合流が遅れて、準備がそれほどできていなかった。そういう面もあり、チームとして今はまだ完成とはほど遠いです」と、チームの状況を明かした。
トヨタ紡織との2戦は接戦となり、特に第2戦はビハインドを背負って後半を迎えた。マルコビッチヘッドコーチは「どの国のリーグでも、同じ相手と2日間続けて試合をすることはない。ただ、私は競争することができるリーグだと感じていて、個人的には気に入っています」とWリーグの良さを語るが、その反面で感じた難しさもあると言う。
「特にトヨタ紡織のようにあきらめないチームとの連戦は難しい。何年も一緒にプレーしてきて、しっかり準備をできているチームに対しては難しい部分があります。それでも、私が合流して10日間と短い期間でしたが、とにかくできることをやらなければと思って試合に挑みました。ただ、試合では良い時間帯が何分間か続いても、その後に悪くなったりと波があったので、その波はなくさないといけない」
稲井桃子「ディフェンスの強度もすごく上がってきている」
デンソーは10試合を終えて平均得点は72.6とリーグ全体5位の数字だが、失点数は平均60.7とリーグトップの堅守を誇る。キャプテンを務める稲井桃子は「ヘッドコーチからは、『ディフェンスをアグレッシブにやる』と言われています。ディフェンスの強度もすごく上がってきていると思うので、そこは今後も継続していきたい」と手応えを語る。
ただ、その一方でディフェンスでの勢いをオフェンスに繋げることができていない。チームが目指しているバスケットは、「ハードなディフェンスからスティールを狙ってブレイクを出すこと。ただ、今日もスティールがそんなに多くなかったので、もっとスティールを狙ってブレイクに繋げていくことが今後の課題です」と稲井は言う。
ブレイク以外でも、オフェンスでは意思疎通ができずにイージーミスをする場面が目立った。デンソーは日本代表の髙田真希、赤穂ひまわりを擁し、オフシーズンには得点力に長けている本川紗奈生を獲得するなど戦力アップに成功した。それでも、現時点では各選手の強みを生かしきれていないのが現状だ。
稲井も「チームとして、お互いにどういうプレーが得意かという理解ができていないと今日の試合でもすごく感じました」と振り返る。それでも、今月末からは皇后杯も始まり、年明けにはシーズン後半戦がスタートする。チームとしての完成度を高め、勝ち星を増やすためにも、デンソーに必要な部分をこう語った。
「オフェンスに関してはまずはブレイクで点を取ること。あと、ウチは得点を取れる選手が多いです。点を取る選手のためにも周りがしっかりとスクリーンを掛けて、得点を取りやすくなるようにこれから意識してやっていきたいです」