「一つひとつのセットプレーをしっかり守れた」
10月27日、川崎ブレイブサンダースがホームで新潟アルビレックスBBと対戦。ディフェンスの成熟度、強度で大きな違いを見せた川崎が、危なげない試合運びで92-69と圧勝している。
第1クォーターは互角の出だしとなり、川崎が辻直人の連続3ポイントシュート成功で突き放しにかかるが、新潟もロスコ・アレンの長距離砲などでしっかりついていく。川崎は2点リードで第2クォーターに入ると、増田啓介がポストアップからの得点、3ポイントシュートと持ち味を発揮。さらには青木保憲がゴール下への積極的なドライブからのレイアップ、フリースロー獲得によりこのクォーターだけで8得点をマークと若手コンビが攻撃を牽引する。守ってはプレッシャーをかけ続けて新潟にタフなシュートを強いることで、相手のフィールドゴールを15本中5本成功のみに抑え込み、リードを11点に広げた。
第3クォーター、なんとか反撃のきっかけを作りたい新潟だったが、「第1クォーターは良い形で入れましたが、五十嵐(圭)選手が不在の中で強度の高いディフェンスに押されてしまいました。そこからターンオーバーを誘発されて簡単にレイアップにもっていかれるシーンが後半を含めて多かった」と福田将吾ヘッドコーチが振り返るように、川崎の激しい守備にアジャストできない。
まさに堅守速攻でイージーシュートが増えた川崎は、パブロ・アギラールがこの試合で3つ目のスティールから速攻を決めて64-46と突き放す。その後も新潟に付け入る隙を与えなかった川崎は、第4クォーターも大量リードを維持して快勝した。
川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、「出だしに相手のシュートが入って第1クォーターは20得点を取られましたが、他のクォーターはそれ未満に抑えられた」とディフェンスを勝因に挙げ、それを導いたのはスタッフ陣のおかげと強調する。「連戦で準備期間が短い中、コーチ陣がしっかりスカウティングしてくれました。それを選手が集中して取り組んでくれた結果。一つひとつのセットプレーをしっかり守れた。チーム全体の力でしっかり流れをもって来ることができました」
この試合で13得点をマークした青木について次のように評価する。「試合後のMVPのインタビューで『なかなか力になれなくて』と言っていましたが、コートに出ている時は非常に良いプレーを続けてくれていました。昨シーズンまではベンチからエナジーをもたらして勢いを与えてくれるのが役割。今シーズンはより試合をコントロールする部分で成長を見せてくれています」
3勝7敗と苦戦の新潟「悲観はしていない」
これで川崎は8勝2敗で開幕1カ月を終了。中9日と短い休みの後で迎える11月は琉球ゴールデンキングスと2試合、千葉ジェッツと1試合、そして富山グラウジーズと2試合と揃ってリーグ上位のチームと激突するタフな試合が続く。
ただ、指揮官は「特に山場であるとは考えていないです。一戦一戦、とにかく勝つための最善の準備する姿勢で望みたいと思います」と、目の前の試合を全力で勝ちに行く姿勢に変わりはない。しっかり休養を取った後、これまでと同じ一戦必勝体制で上位陣との連戦に臨む心構えだ。
川崎とは対照的に新潟は3勝7敗と黒星先行で序盤戦を終えることになった。ただ、そのうちの4敗は琉球の2敗、富山と川崎から1敗とリーグ上位相手に喫したもので、それ以外では3勝3敗。オフにチームを刷新し、経験不足の若手が多いメンバー構成であること。さらに中心選手と期待していたチャールズ・ミッチェルが来日するも、メディカルチェックの結果で契約解除となる大きなアクシデントがあったこと考慮すると健闘しているとも言えるが、福田ヘッドコーチはこう率直に語る。
「滋賀さん相手にオーバータイムで負ける。京都さんとの第1戦では前半にリードをしながら第3クォーターで一気に得点を許してやられてしまいました。できれば5勝5敗でブレークに入りたかったのがもともとの思いです」
11月に入ると新潟は宇都宮ブレックスと2試合、アルバルク東京と1試合と再び強豪との対戦が続くが指揮官は、「チームには伸び代しかないですので、悲観はしていないです」と前を向く。そして、「強度が高く、コミュニケーションがしっかり取れているディフェンスをすることで宇都宮さん、A東京さんに対しても勝機を見いだせます」と守備の立て直しを最優先ポイントに挙げる。ここで強豪相手に、どんな試合をできるのかはシーズン中盤戦における大きな踏ん張りところだ。