「ニューオリンズにはすべてが揃っていた」
ペリカンズはスタン・ヴァン・ガンディのヘッドコーチ就任を正式に発表し、オンラインで会見を行った。彼の言葉は単純明快、自分の感情をストレートに話す。「このところはテレビで解説者をやるのを楽しんでいたんだ。コーチングを続けるつもりではあったが、どんなオファーでもいいから引き受けるという心境ではなかった。よほど良いチャンスじゃなければ受けないつもりだったが、ニューオリンズにはすべてが揃っていた」
ピストンズ時代はヘッドコーチに加えて球団社長も兼任したことが様々な不調和を招いた。「コーチングに役割に徹して、他のことはフロントに任せておける。そのことに一番興奮しているよ」とヴァン・ガンディは言う。
ペリカンズは9人のヘッドコーチ候補と面談をして、ヴァン・ガンディを選んだ。ザイオン・ウイリアムソンを筆頭に有望な若手を多く揃えるが、プレーオフ進出を逃したチームで『育てながら勝つ』のが彼の仕事になる。「若さを言い訳にしたくはない。同点の残り2分からターンオーバーを3回やって『ウチは若いチームだからね』と言うのは簡単だけど、みんな素晴らしい選手で、若くしてNBAに入ってきた。競争すべき時が来たんだ」
ザイオンをどうプレーさせるかがメディアの関心の的。ヴァン・ガンディは「4番ポジションか5番ポジションか、という考え方はしない」と語る。「私たちは研究し、より情報を求めて彼自身にどんなプレーを好むかを聞く。その中で彼をどのポジションに置くべきか、彼の周りに誰を置くのかが決まってくる。この時点でポジションを決めてしまうつもりはない。みんなレブロン・ジェームズやチャールズ・バークレーと比較したいだろうが、ザイオンのサイズとクイックネス、爆発的なパワーはいまだ噛み合っていない。様々な役割をこなせる意味ではレブロンに似ているし、サイズと跳躍力はバークレーを思い出させるのは分かる。私が思うザイオンの特徴はどのゲームでもアンセルフィッシュにプレーすること。プレーの判断が早く、ボールを止めないこと。だから他の選手も彼と一緒にプレーを楽しむことができる」
ザイオンはリーグを代表する選手になれる逸材で、ブランドン・イングラム、ロンゾ・ボール、ジョシュ・ハートという、かつてのレイカーズの『ヤングコア』がその周囲を固める。頼れるベテランとしてドリュー・ホリデーとJJ・レディックもいて、チームの核となる戦力はすでにある。個々の成長は彼ら自身の仕事だが、ヴァン・ガンディの植え付ける徹底したディフェンスは、特にサイズとウイングスパンのあるイングラムにとって大きな成長のカギとなりそうだ。
言い訳せず、勝てるチームへとこの1年で飛躍できるかどうか。ペリカンズは新たな一歩を踏み出した。