「100%理想のプレーはまだできていない」
今シーズンの宇都宮ブレックスは開幕から4連勝を記録し、最高のスタートを切った。合流が遅れていたLJ・ピークも前節の信州ブレイブウォリアーズ戦から出場し、これからチームケミストリーを高めていく作業を進めていく。継続路線を選んだ宇都宮にとって、ジョシュ・スコットやピークのような新戦力の連携を深めることはチーム力の底上げに繋がる。それと同様に、昨シーズン途中から宇都宮に加入したテーブス海の成長もチーム力アップの一端を担う。
テーブスは4試合を終えた時点で、平均17.8分のプレータイムを獲得している。戦力が充実し、タイムシェアを強調する中でほとんどの選手のプレータイムが微減しているが、テーブスは昨シーズンよりも約7分強プレータイムを伸ばしている。
昨シーズンのテーブスは「自分をアピールする時期なので、出た瞬間にアタックすることを意識しています」と語っていたように、自分のアピールを第一に考えていた。もちろんこれはセルフィッシュなプレーをするという意味ではなく、新加入選手として自身の長所や短所を理解してもらうための行動だ。そして、指揮官の信頼を勝ち取ったことで、テーブスは次のステップを踏み出した。
「昨シーズンは自分が何をできるかを証明したい気持ちもあったので、自分で攻めることが多かったです。今シーズンはプレータイムが伸びているので、チームの流れを考えて勝つために何をしないといけないかを考えています。アピールというよりは、ポイントガードとしてチームのために良い流れを作ることを一番意識してます」
一般的にプレータイムが伸びれば、それに比例して他のスタッツも伸びやすい。だが、テーブスは平均得点こそ微増したが、アシストは1.2と下がり、ターンオーバーに至っては2.0と、思うような成績を挙げられずにいる。テーブスも「100%理想のプレーはまだできていないのが現実」と言う。
ただ、プレースタイルの変化は自身のステップアップのために必要で、テーブスもそれを理解している。「誰でもやりたい放題できるならそれが一番やりやすいと思います。でも僕が次のステップに進むためには、自分がやりやすいからやるんじゃなくて、チームが一番やりやすいことをやらないといけない。これからのステップアップにそれが一番大事だと思ってます」
前節は出場できなかった比江島慎の穴をピークが埋めた。戦力が充実している宇都宮だけにチーム内競争はこれからも激化していく。安齋竜三ヘッドコーチは「全員が揃った時にどうやって回していくかを見極めないといけない。今はうまくいかない時間も我慢して使っていますが、そうはいかないチームもいっぱいある」と語っており、特に今後は妥協の許されないタフな戦いが続いていく。
試行錯誤が続くテーブスにとっては試練の時期を迎えたとも言える。だが、挑戦を好むテーブスであれば、きっと己の存在価値を証明しつつ、チームの最高形を見い出せるはずだ。