「チームを鼓舞できる選手をもっとプッシュする」
琉球ゴールデンキングスは10月11日、12日に行われたホーム開幕節の新潟アルビレックスBB戦に連勝し、成績を2勝2敗とした。この2試合はともに前半は我慢の展開で、後半に主導権を握っての勝利となったが、波に乗り切れない前半に効果的な得点でチームを支えたのが岸本隆一だった。岸本は10日に11得点、11日に17得点を挙げ、開幕から4試合連続の2桁得点を達成した。
また、この2連戦において10日には石崎巧が13分22秒の出場で3得点7アシスト1スティール、11日には満原優樹が10得点5リバウンドを挙げると、小野寺祥太、牧隼利らがハッスルプレーでチームに勢いを与えるなど、岸本を含めたベンチメンバーの奮闘が光った。
岸本も「控えから出てくる選手が身体を張ってディフェスを頑張ったところが、今日は一番良かったことだと思います」と、ベンチメンバーの活躍に手応えを感じている。
ただ、自らが中心となり、セカンドユニットが今回のようなプレーを継続しないといけないと強調もした。「ただ、これを続けていくことがいかに難しいのかを分かっているつもりなので、もっとシビアに取り組んでいきたいです。僕がベンチメンバーをしっかりバックアップして、今日の祥太、牧のように身体を張ってチームを鼓舞できる選手をもっとプッシュする。自分もそういうふうに激しくしていきたいです」
新型コロナウィルスの感染対策により、観客は試合中に声を出すことを禁止されている。琉球のホームはチームが苦境に陥るとアリーナDJ主導ではない「ゴー・ゴー・キングス」コールが自発的に発生する。バスケットボールをよく知っているファンの、試合の流れを的確に踏まえた圧倒的な声援がチームに力を与えてきた。この声援がない今、あらためて岸本はその存在の大きさを実感する。
「あまりチームが上手く行っていない時は変な間があります。そこで少しでも早く気持ちを切り替えるのに、これまではファンの方たちがこの間を潰してくれていた。皆さんのたくさんの声援によって知らず知らずのうちに、自分たちは切り替えて前を向けていたと思いました」
「いかに目の前の試合を勝ち取るか」
ファンの声の力を感じたと同時に、岸本はファンが見てくれていることの重要さも強く認識したという。「ゲーム中はなかなか客席を見ることはないですが、試合前後に、いろいろな方がプラカードなど工夫を凝らして自分たちに思いを届けようとしてくれている。それを見て、キングスは本当に良い環境、素晴らしいファンに恵まれているチーム。やっぱりファンあっての琉球ゴールデンキングスだとすごく感じました」
課題はありつつも、チームは勝敗を五分に戻した。新型コロナウィルスの感染状況がどうなるのか、まだまだ予断を許さない今だからこそ、岸本は目先の勝利の大切さを訴えた。
「まずは勝てる試合を必ず勝つ。毎試合勝つことはもちろん難しいことですが、いかに目の前の試合を勝ち取るか。昨シーズンも急にシーズンが終わっていますし、今シーズンも同じような状況になることはあり得る。もし、スタッフの誰かが感染してしまうなど、いつもとは違う状況に置かれた時にも言い訳せずにプレーできるのか。本当に目の前の試合、目の前の一つひとつのプレーを大切に戦っていくことが今シーズンすごく大事になってくるかなと思います」
一戦必勝の姿勢がより重要となる今シーズン、ベンチスタートから試合の流れを変え、得点源となっている岸本の存在感はより大きくなっている。