レブロン・ジェームズ

「僕は自分のエネルギーを正しい場所で使いたかった」

レブロン・ジェームズにとっては4度目のNBA優勝となった。2012年と2013年にはヒートで、2016年にはキャバリアーズで、そして今回はレイカーズ。4回の優勝は「どれも特別で気に入っている」とレブロンは言う。

「どの優勝も困難があって、シーズンを通じてコート内外でいろんなことがあった。どれが優れていて、どれが劣っているというものじゃない。チャンピオンになって最初に考えるのは、この1年でどれだけの努力をしてきたか。どれだけの犠牲を払い、どれだけ自分の技術のために時間を費やしたか。それを考えると満足感が得られる。チームメートの喜ぶ姿を見るのと同じぐらいにね。報われると信じて努力し、その結果が分かる。これはプロバスケットボール選手に限らず、どんな職業の誰であっても、努力を積み重ねた結果を知るために生きているのだと思う」

それでも、今回の優勝はその環境が特殊だった。新型コロナウイルスの感染拡大によりシーズンは長く中断となり、オーランドのディズニーワールド内に設けた隔離エリア『バブル』でレギュラーシーズン終盤戦とプレーオフが行われた。さらにはシーズン中断期間中に人種的不平等にNoを突き付け、社会正義の実現を訴える『Black Lives Matter』運動が盛んになり、『バブル』でのNBAはその声を発信するプラットフォームにもなった。自然な流れとして、選手の代表格としてレブロンが発言する機会も多々あった。

「ここでは様々なことが起きた。僕らは未知の領域に足を踏み入れたようなもので、個人的に難しいと感じることもあった。ただ、それは始める前のことで、『バブル』に足を踏み入れてしまえば『大丈夫、これが自分のやるべきミッションだ。ここに来たからには優勝したい』と思うことができた。他のチームや選手がどう感じたのかは分からないけど、僕は自分のエネルギーを正しい場所で使いたかった」

「ここにいる最後の数日は、『バブル』がどれだけの成功だったかと考えた。NBAのアダム・シルバー、選手会のミシェル・ロバーツやクリス・ポールなどたくさんの人々の尽力のおかげで、今回のプレーオフは実現できた。社会正義に関する議論、有権者の不利益や警察官の暴力への抗議のプラットフォームを作り、選手が団結できた」

「そしてもう一つ、最も大きな成功は感染者を出さなかったことだね。90日以上ここにいて、誰一人として陽性反応が出なかった。これは関係者にとってもう一つの成功と言っていいだろう」

ファイナルMVP選出のスピーチで、レブロンは「リスペクトを勝ち取りたかった」と語った。批判や疑念が彼のモチベーションになる。「証明すべきものがあると燃えるタイプなんだ。ケガをしてからの1年半はそうだった。これまでのキャリアでどれだけのことをしてきても、まだ僕を疑う人はいる。過去の偉大な選手と比較して、『これは達成したか?』、『あれはどうだ?』と言うんだ。それで僕は『まだ証明すべきものがある』と自分に言い聞かせてきた」

その歩みも、後から振り返れば満足感に変わる。レブロンの2019-20シーズンの長い戦いが幕を閉じた。