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「特別な何かを作り上げたと感じられる一員になりたい」

今オフに去就が注目されたフリーエージェント選手のポール・ジョージは、大方が予想したレイカーズへの移籍ではなく、サンダー残留を選択した。周囲はその決断を『サプライズ』と表現したものの、ジョージは熟慮の末に来シーズン以降もオクラホマシティでプレーすることを決めた。

その背景には、サンダーでの1年で築いた絆、ラッセル・ウェストブルックとの強い友情が関係していたことを、本人が『ESPN』の密着シリーズ最終回で明かしている。

同番組内で、ジョージは1年前の時点ではレイカーズへの移籍を希望していたことも告白している。だが昨夏、レイカーズは動かず、代わりにサンダーが2018年のオフにフリーエージェントになれる権利を保持していたジョージのトレードを決行。メディアが「1年限定のチーム」と批判したトレードだったが、サンダーはこれでジョージの心を掴んだ。

フリーエージェント選手との交渉は7月1日に解禁されるが、サンダーは、7月1日以前にジョージと接触を許された唯一のチームだった。密着シリーズでは、サンダー指揮官のビリー・ドノバン、サム・プレスティGMがジョージの自宅を訪問する様子も収められている。

ジョージは言う。「毎日が勧誘の日々になるのかと思っていたけれど、そうではなかった。彼らは常に正直で、球団との関係性は本物だった。サムとの関係も、ラス(ウェストブルック)との絆もそうだし、本当に家族、兄弟のような関係性を築くことができた」

プレスティは、ジョージと代理人の前で偽らざる気持ちを告白。「ポール、君のパーソナリティでチームを進化させ、成長させることが私の希望だ。君とラッセルのタンデムで前に進んでいければ、間違いなく球団史に残る。それに、今まで到達できなかった最高の地点に進めると思っている」というGMの言葉を聞いたジョージは、「僕が球団のミッションの一部になれてうれしいのは、ラスがハングリーであること。彼は勝ちたがっていて、僕も勝ちたい。この気持ちが彼とのデュオを特別なものにしているんだ」と答えた。

この時点で残留を決意していたジョージは、オクラホマシティに戻り、ファンの前で報告することを決めていた。その舞台に選んだのは、ウェストブルックが開催したパーティー会場だった。ここにサプライズゲストとして現れたジョージは、盟友ウェストブルックの隣でマイクを握り「ここに残る」と表明。

番組内では、残留を決めた理由をこう語る。「チームに対する忠誠心というよりも、自分にとって正しいと思う方を選んだ。自分の価値を確かなものにし、まだ優勝していないチームにチャンピオンシップをもたらせるなんて完璧な機会だ。チームは僕を歓迎してくれた。球団にも、僕が抱いている興奮と同じ感情を経験してもらいたい。僕はこのチームで優勝できると思っている。特別な何か、自分が作り上げたと感じられる一員になりたい。オクラホマでなら、それを築くことができる」

またジョージは、ウェストブルックとのプレーについても言及。「彼は自分が知る中で最高の人物の一人。それに、彼の試合に対するアプローチを見ていると、一緒にやりたいと思わされる。ラスとなら勝てるし、逆もまた然り。史上最高の選手の一人と一緒なら、優勝できる可能性は高い」と語った。

1年前に抱いていた地元レイカーズへの移籍希望は本心だった。サンダーにトレードされず、もしレイカーズが獲得に動きトレードを実現させていたら、ジョージの運命は大きく変わっていただろう。

レイカーズはレブロン・ジェームズを獲得し、急ピッチで新チームを作り上げようとしている。連覇を達成したばかりの王者ウォリアーズも、デマーカス・カズンズというオールスターを加えることに成功し、スリーピート(3連覇)に向け盤石の体制を築きつつある。優勝を目指すからには、彼らのような『スーパーチーム』に加わるのが近道、という考え方が現代の傾向だ。

しかしジョージは、ウェストブルックという最高の相棒とともに時代を築く方を選択した。トレンドから外れようと、自らの信念を貫き、結果を残す。サンダー残留という結論には、ポール・ジョージという選手の価値観が集約されている。