新型コロナウイルスの影響により、今年のインターハイは中止となった。全国の高校バスケ関係者は、ウインターカップに向けてチーム力に磨きをかけている。昨年のウインターカップ優勝校、桜花学園も同じだ。日本一を目指して全国から集まってくる選手たちは、インターハイやウインターカップで優勝することを信じて日々の練習に取り組んでいる。ウインターカップの中止を井上眞一コーチから聞かされた選手たちは、その時は固い表情で聞いていたが、解散した後にはそれぞれ号泣したという。江村優有、前田芽衣、オコンクウォ・スーザン・アマカと前年の主力が3人残り、他のメンバーがどれだけ成長するかが今年のカギだ。対外試合ができない期間が長く、どうしても経験は足りないが、それを言い訳にはしない2年生コンビ、朝比奈あずさと伊波美空に話を聞いた。
伊波「もっと試合に出たい、もっと活躍したい」
──まずは朝比奈選手から、自己紹介をお願いします。
朝比奈 朝比奈あずさです。中学では最後の夏の大会で県大会3位になって、ジュニアオールスターや県選抜に選ばれてU13にも入り、桜花に誘っていただきました。センターで、ゴール下からシールしてのシュートを得意としています。好きな食べ物はメロンパンです(笑)。
──伊波選手から見た朝比奈選手はどんな子ですか?
伊波 頭が良くて、しっかりしていて優しいです。あと、すぐ寝ます(笑)。
──では伊波選手の自己紹介をお願いします。
伊波 伊波美空です。中学校ではジュニアオールスターとアンダーに選ばれていました。ガードで、1番をやる時もあるし2番をやる時もあります。得意なプレーはドライブで切っていき、そこからのアシストや得点です。好きな食べ物はパイナップルで、嫌いな食べ物は緑の野菜なんですが、寮の食堂ではちゃんと食べています(笑)。
──朝比奈選手から見て、伊波選手はどんな子ですか?
朝比奈 みんなのことを気遣って、すごく優しく周りを見て動いてくれます。直してほしいところは特にないです。
──朝比奈選手は神奈川出身、親元を離れるのは大きな決断だったと思います。実際に桜花に来てどうでしたか?
朝比奈 最初は桜花学園のこともあまり分からなかったんですけど、声をかけていただいて桜花のことをいろいろ知って、もっと上手くなりたい、井上先生の下でバスケをしたいという思いで来ることを決めました。最初は不安もあったんですけど、みんなすごく優しくて、分からないことも丁寧に教えてくれるし、不安よりも楽しいのが一番でやってこれました。
──伊波選手は沖縄出身です。沖縄は外にたくさんバスケコートがありますが、小さい頃から公園とかでプレーしていましたか?
公園でもやっていたし、お父さんの職場が基地だったので、お父さんと一緒に基地の中のコートでも練習していました。
──去年は1年生ながら2人ともウインターカップで試合に出ていました。どんな気持ちでプレーしていましたか?
伊波 最初は緊張やプレッシャーもあったんですけど、もっと試合に出たい、もっと活躍したいという気持ちでした。
朝比奈 自分の中学はそんなに強いチームではなくて、私は全国大会の舞台を経験したこともなかったので、すごく緊張しました。でも慣れるに従ってもっと試合に出たいと思うようになったし、今年はもっと活躍したいです。
──そのウインターカップが終わって新チームになったところで、新型コロナウイルスの影響で部活が思うようにできなくなりました。コロナの期間はどのように過ごしていましたか?
伊波 練習ができない期間もあったし、トレーニングしかできない時もあったのですが、一人ひとりが個人スキルのレベルアップができるようトレーニングや練習に励んでいました。私はシュートの精度を上げられたと思うし、接触プレーが嫌ではなくなりました。
朝比奈 みんな日本一になりたいから、個人のスキルアップをチーム力に繋げること、あとはみんなでリーダーシップを取って全員で意見を言い合って強くなることを目標にしていました。私も前よりは周りを見て声を掛けられるようになったと思います。
朝比奈「真面目にやる時はやる、練習が終わればみんなで楽しく」
──すでにウインターカップ出場を決めているということで、予選がないので練習試合で経験を積んでいかないといけません。今は何を意識して練習していますか?
朝比奈 速攻でちゃんと走ってシール、ポストアップはできているんですけど、ミドルレンジのシュートやディフェンスでスイッチした時とかにガードにつく時や、全員外回りのチームの時にドライブなどを守れるディフェンス力をつけるのが課題です。
伊波 私はドライブで切っていってアシストや点は取れるんですけど、ドライブからジャンプシュートにしたりするシュートの工夫と、ディフェンスをもっと強化していくことが課題です。
朝比奈 今はスタートで出させてもらっている2年生が私だけなので、3年生の中でも自分の意見を言えるようにして、自分のプレーをもっと出していきたいです。3年生と同じぐらいやらなきゃいけないという気持ちでプレーしています。
伊波 ウインターカップまでに自分が少しでもレベルアップできるように練習しています。今はBチームなんですけど、練習試合の相手のカテゴリーやレベルによって、出れたり出れなかったりという感じでその時によって違います。試合に出させてもらった時にはターンオーバーを少なくしてシュートを確実に決めて、しっかり自分のプレータイムを作りたいです。
──こういうチーム内の競争のレベルの高さは桜花学園ならではですが、2人はその強さの理由はどこにあると思いますか?
朝比奈 練習と私生活のオンとオフがしっかりしていることだと思います。真面目にやる時はやる、練習が終わればみんなで楽しく過ごしています。先生も含めて全員が上手く切り替えられているので、それが一番の秘訣かなと思います。
伊波 私もそう思います。井上先生は練習では基本に厳しく徹底しますが、バスケを離れて私生活になったら全然違うので。
──コートを離れた時の井上先生は良いお父さんですか、良いおじいちゃんですか?
伊波 良いおじいちゃんです(笑)。
──ウインターカップでの活躍を期待しています。2人はどんなプレーをしたいですか?
伊波 ウインターカップまで一つひとつのプレーを大事にして、チャンスを生かせるように。そしてチームに貢献したいです。少しでも成長した姿を見てもらえるように頑張りたいです。
朝比奈 ウインターカップは優勝するのはもちろんですけど、そのために自分ができることを100%出し切ってチームに貢献したいです。チームのためにプレーする姿を応援してもらっているので、応援してくれる人たちのためにも頑張ります。