「競争を意識していないと言えば嘘になる」
千葉ジェッツは富樫勇樹を新キャプテンに据え、田口成浩が副キャプテンとして支える新体制で頂点を目指す。
新体制を発表した際、田口は今シーズンのキーマンに原修太の名前を挙げた。原は同じポジションを争うライバルの突然の指名に困惑しながらも「素直にうれしい」と頬を緩ませた。
「ポジションは2、3番なので、プレータイムを争うという意味ではライバルではあります。やられたくないとか、やってやろうという気持ちで練習もしています。でも、みんなで強くしていこうという雰囲気が今シーズンは特にあります。シゲとも3シーズン目ですし、良い関係なので素直にうれしいです」
田口のキャラクターによるものも強いと思うが、原が4歳年上の田口を『シゲ』と呼んでいることからも雰囲気の良さが伝わる。原は田口のことを「頼りにしているお兄ちゃんのような感じ」と表現した。千葉県出身の原はアーリーエントリーで千葉に入団し、今シーズンで6年目を迎える。フランチャイズプレーヤーになりつつあり、ファンからはチームの『弟分』的な存在として見られることもあるが、その感覚は正しいようだ。
チームの雰囲気の良さを強調する原だが、もちろん一人のアスリートとして譲れないモノもある。「正直、プレータイムに関してはめちゃくちゃこだわりがあります。どんなことを言っても、試合に出て貢献して優勝したいという気持ちはプロに入ってから変わりません。20分でも30分でも出れるなら出たいですし、他の人との競争を意識していないと言えば嘘になる。自分の仕事を全うすれば大野(篤史)ヘッドコーチが認めてくれるので自分にフォーカスしてやっていきたい」
昨シーズンは中盤から先発の座をつかみ取り、プレータイムも平均22.5分と中心選手としての地位を確立した。主要スタッツも軒並み向上したが、数字にそこまでこだわりはないようだ。「スタメンで出て後半に出ないこともありました。数字はぼんやりしていて、より長く試合に出たいですし、とにかく良い局面で使ってもらいたいです」
今オフ、原は「もっとたくさんの人に勇気を与えることができれば」との思いから、指定難病の潰瘍性大腸炎と診断されていたことを発表した。「隠しているつもりはなく、いつ言うかを決めていたので気持ちの変化はない」という原だが、周りからのリアクションに逆に勇気づけられているという。
「公表してから、バスケ関係ではない知らない方からフォローしてもらったり、メッセージをもらったり、自分も勇気をもらいました。この病気は外見では全く分からないので、こんなに同じ境遇の人がいるんだと思いました。その人たちのためにも勇気を与えられるようなプレーがしたい」
病気を公表し、チームの雰囲気も最高の中で迎える新シーズン。「2シーズン目、3シーズン目の悔しさがまだ残っている」という、原への期待は高まるばかりだ。
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