来シーズンにレブロン・ジェームスがどのチームでプレーするのか注目を集めています。レイカーズ、ロケッツ、シクサーズ、はたまたキャブズに残留するのか。リーグの勢力図を大きく書き換える『唯一無二』の存在だけに、レブロンのハートを射止めたチームは一気に優勝候補の一角へと躍り出ることになります。そんなレブロンがどこのチームに行くのか。話題にはなっていませんが、「ここに行けば面白い」というチームを独断と偏見で紹介します。
ペイサーズにとってレブロンは「倒すべき存在」?
昨シーズンにポール・ジョージをトレードで放出する決断を下したペイサーズは、エースや2番手としては厳しいけど、どこのチームでもスターターとして活躍できそうな選手を10人近く揃えることで快進撃を見せました。オールスターへと成長したビクター・オラディポを中心に、キャブズをあと一歩のところまで追い込んでおきながら、レブロンに沈められました。
ディフェンスが良くハードワークのできる選手で構成され、チームワークで戦うペイサーズであれば、レブロンのディフェンスの負担は少なくなります。オフェンス面でもリーグで最も高い確率で3ポイントシュートを決めたダレン・コリソン、キャブズとの第4戦で3ポイントシュートを9本中7本成功させたボバン・ボグダノビッチ、そしてセンターながらアウトサイドシュートの上手いマイルズ・ターナーがいます。加えてセンターにコンバートされスクリーンからタイミングの良い合わせで決めていくドマンタス・サボニス、コーナーにポジショニングしながら長い距離を合わせるサディアス・ヤングもいます。
いずれもレブロンのパスに対して効果的にフィニッシュしてくれる存在です。ポイントガードとしてゲームメーク力に優れたコーリー・ジョセフは、レブロンの役割をプレーメークに集中させてくれるはずです。
優秀なロールプレイヤーを揃えているペイサーズならば、レブロンのタスクを限定し、その能力を最大限に生かしてくれるに違いありません。
問題は、ペイサーズにとってレブロンが『倒すべき存在』であること。プレーオフではレブロンに行く手を阻まれ続けているだけに、味方に引き入れるよりも倒したいのが本音でしょう。
Where does LeBron's game-winner vs. Indiana rank in the biggest shots of his career?#TheStarters pic.twitter.com/JyQx8b3xho
— NBA TV (@NBATV) 2018年4月26日
ウィザーズでウォールと組むのが打倒ウォリアーズの近道
今シーズンのウィザーズは非常に不安定な戦いぶりで、なんとか東カンファレンスの8位でプレーオフに進出したものの、シーズン前の期待値を考えると失意のシーズンとなりました。しかし、ウィザーズにはリーグ屈指のポイントガードであるジョン・ウォールが圧倒的なスピードで相手ディフェンスを切り裂き、そして高い決定力を誇るブラッドリー・ビール、オットー・ポーターJr.、マーキーフ・モリス、ケリー・ウーブレイ、トーマス・サトランスキー、マイク・スコットというウイングにアシストしていきます。
これだけのウイングがいながらパサー役がウォールしかいないのが、ウィザーズの苦しいところでした。そのためウォールが欠場すると、オフェンスの展開力が乏しくなります。それでも勝率5割と奮闘したことは、選手個人の能力は非常に高いことを示しています。
運動能力が高く、シュート力があり、オールラウンダーのウイングたちは、打倒ウォーリアーズに適した存在です。そこにウォールとレブロンという2人のプレーメーカーを並べれば、オフェンスパターンが多彩に変化するし、互いに休むことができてスタミナ面の不安もなくなります。
ウォリアーズを最も苦しめたのはロケッツでしたが、クリス・ポールとジェームス・ハーデンがダブル・ポイントガードとしてウイングにアシストしたように、ウィザーズはレブロンの加入により新たなダブル・ポイントガードのシステムを組むことが可能になります。
ただし、ウィザーズが苦しいのはサラリーキャップです。レブロンを加える余裕がないため、オット・ポーターJr.あたりを放出する必要があり、さらにフリーエージェントとなる選手もいるため、ロスターが未確定な部分がレブロンには魅力的に映らない可能性が高いです。
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— Silver Screen & Roll (@LakersSBN) 2018年6月22日
レブロンの新しい可能性を拓くジャズ
ゴードン・ヘイワードが退団したことで前半戦こそ苦戦したジャズですが、ドノバン・ミッチェルがスーパーエースの地位を確立し、チーム力が整った後半戦では勝率8割を超える好成績を残しました。
ミッチェルはゲームメークをリッキー・ルビオに任せてスコアラーに徹します。ジョー・イングルスのシュート力、ルディ・ゴベアーの高さ、便利なデリック・フェイバーズにより、それぞれの特徴を最大限に生かした論理的で多彩なオフェンスパターンを実現しました。ベンチにいるメンバーもハードワークを厭わず、何かしらの特徴を出す選手を揃えています。
パワフルでスピーディーなドライブを決めるレブロンですが、ディフェンスが寄せた場合にはアウトサイドに構えるシューター陣にアシストすることでキャブズのオフェンスを組み立てました。その意味ではシュートが得意な選手を多く揃えたのがキャブズの特徴でした。
しかし、ジャズはシュート以外に特徴を持つ選手もいます。今のNBAは3ポイントシュートが得意な選手が重用されるのですが、ジャズは一歩先に進み、3ポイントシュートは活用しながらも、より多様な特徴を組み合わせています。
レブロンの能力を生かすのはもちろん、レブロンの新しい可能性も開いてくれそうなのがジャズというチームなのです。ヘッドコーチのクイン・スナイダーがレブロンというNBAの歴史に残るオールラウンダーに新たなるタスクを与えることを期待したいです。
レブロンの移籍先の噂にジャズは一切出てきません。「ユタのようなスモールマーケットにレブロンが来るわけがない」とフロントもファンも誰もがあきらめている空気を感じます。しかし、ジャズはすでにリーグの強豪であり、レブロンが優勝を最優先に考えるのであれば魅力的な選択肢のはずです。
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— Bleacher Report (@BleacherReport) 2018年6月22日
優勝を狙えるだけでなく、チームにとってもレブロンにとっても面白い化学変化が起きそうなのがペイサーズ、ウィザーズ、ジャズです。ペイサーズはレブロンの現状の能力に適している、ウィザーズはウォリアーズ対策に向く、そしてジャズはレブロンの新しい可能性を引き出してくれるのではないか、というのがポイントです。
これらのチームにレブロンが行くなんて噂は全く出てきませんが、それでも移籍市場では何が起こるか分かりません。こんな話をしながら、彼がどんな結論を出すのかを待ちたいと思います。