「ブラック・マンバ・ジャージーを着て負けられない」
レイカーズとナゲッツが対戦する西カンファレンスファイナルの第2戦。驚異的な粘りを見せたナゲッツが終盤に逆転するも、残り2秒からのラストチャンスでアンソニー・デイビスが再逆転ブザービーターを決め、レイカーズが劇的な勝利を収めた。
レイカーズはディフェンスのチーム。ナゲッツを寄せ付けずに完勝した第1戦から激しくバランスの良いディフェンスで、相手の得点源であるジャマール・マレーとニコラ・ヨキッチに自由を与えない。特に長身センターでありながらチャンスメークもできるヨキッチには絶妙なタイミングで仕掛けるダブルチームが効き、ターンオーバーを誘発する。
ポール・ミルサップやジェレミー・グラントがディフェンスで踏ん張り、ヨキッチやマレーがマークをかいくぐって得点を挙げ、また彼らのマークが厳しいギャップをマイケル・ポーターJr.が突くのだが、ナゲッツに好プレーが続くたびにレブロン・ジェームズがビッグプレーで流れを断ち切る。そこからアレックス・カルーソの速攻など良い攻めに繋いだレイカーズが、10点前後のリードを保って試合は進んでいった。
それでも第3クォーター途中から、ディフェンスの激しさで上回るナゲッツが点差を縮めていく。ミルサップ、トーリー・クレッグが思い切りの良いアタックでバスケット・カウントをもぎ取り、ポーターJr.も高さのミスマッチが生まれれば迷わず得意のジャンプシュートを決めていく。ヨキッチとマレーの得点は思うように伸びなくても、レブロンやデイビスのビッグプレー以外は粘り強いディフェンスで失点を許さずに流れを引き寄せていった。
4点差で迎えた第4クォーター、ナゲッツにさらなる勢いを与えたのは控えガードのPJ・ドジアーだ。シーディングゲームでは大活躍した2年目のドジアーだが、マレーを始め主力が復帰したプレーオフではほとんど出番がなかった。それでも調子を上げていくマレーがレブロンにマッチアップされ、セカンドユニットで得点の期待できるポーターJr.もファウルトラブルという状況、フレッシュな彼が強引に仕掛けることでレイカーズのディフェンスを攻略するきっかけを作った。
一度はナゲッツに逆転を許したレイカーズだが、すぐに再逆転。残り3分で100-92と突き放すが、ここからオフェンスでミスが続いて足踏みする間に、ヨキッチが巧みにファウルを誘いながら連続得点を挙げる。残り31秒、チェックを受けてリングに届かなかったマレーの3ポイントシュートをティップで押し込み、これでヨキッチが1人だけで11-0のラン。デイビスの得点でランは止まるも、絶好調のヨキッチは止まらない。ポストアップでデイビスを押し込んで、振り向きざまのシュートを沈めた。
残り20秒、1点負けているレイカーズはレブロンにボールを託す。ここでもナゲッツのディフェンスが効き、レブロンは攻めきれずにカルーソのシュートが外れ、リバウンドを抑えるもグリーンのシュートは飛び込んできたマレーにブロックされる。残り2.1秒、万事休すと思われたリスタートの場面。マークを振り切ったデイビスがパスを受けてすぐさま3ポイントシュートを放つ。決して簡単ではないシュートは、試合終了のブザーとともにリングを通り抜けた。こうして105-103でレイカーズが激闘を制している。
この逆転ブザービーターでデイビスの得点は31に伸び、30得点のヨキッチを抜いてこの試合での最多得点に。「ナゲッツは最後まであきらめないチームだ。僕たちはそこに負けずに戦い続けなければならない。今日は『ブラック・マンバ・ジャージー』を着ていたから負けられなかった」とデイビスは語る。
最後の場面、デイビスのマークについたのはメイソン・プラムリー。デイビスの高さを警戒しての起用だったが、デイビスはスピードで振り切ってアウトサイドに出て、シュートを決めた。レイカーズの指揮官フランク・ボーゲルは、こんな言葉でデイビスを称えた。「今日は選手みんなにコービーのようなプレーをしてほしかった。最後のシュートはまさにコービーを思い出させるものだったね。ウイングに走り、躊躇せずにキャッチ&シュートを決めた。あれこそが『マンバ・ショット』だよ」
それでも、レブロンはもっとシンプルな言葉で相棒の働きを表現している。「AD(デイビス)は並みの選手じゃないからね」と。
ナゲッツではヨキッチが30得点、マレーが25得点と、初戦では良いところのなかった両エースがレイカーズのディフェンスを上回りつつあり、ポーターJr.やドジアーなどベンチメンバーの奮闘も目立った。最後の失点さえなければ粘りに粘って競り勝つ最高の試合展開だったと言える。ただ、ここまで1勝3敗からの逆転を2度決めているが、連敗スタートは経験していない。次の第3戦は彼らにとって正念場の試合となる。