文=丸山素行 写真=野口岳彦、鈴木栄一

「もっと自分で行けたら良かった」と後悔の念

新生男子日本代表は韓国との国際強化試合の第2戦に87-99で敗れた。第1戦と第2戦では選手起用に違いがあり、ポイントガードでは第1戦では19分間プレーした篠山竜青が出場せず、第1戦では出場機会がなかった宇都直輝が15分間のプレータイムを得た。

宇都は得意のドライブで相手ディフェンスを切り裂き、自らフィニッシュするなど持ち味を見せた。「コミュニケーションを取りながらうまくやれた」と自身の出来に及第点を与えた。それでもディフェンスが崩れ、後半に失速した場面を振り返り、「点数が止まった終盤にもっと自分で行けたら良かった」と悔いを残した。

第2戦の終盤には比江島慎がポイントガードを務めるシーンもわずかながらにあったが、現状では富樫勇樹、篠山、宇都の3人でポイントガードの座を争っている。同じポイントガードでもその長所は三者三様であり、あらためて自分の長所で勝負していきたいと宇都は語る。

「具体的に話したことはないので分からないですけど、シーズン中のプレーを見て選ばれているとは思っているので、得点は求められていると。身長がでかくて動ける分、プッシュしたり、ディフェンス面では富樫とか篠山さんとかよりアドバンテージがあると思います。ディフェンスで身体を張って、リバウンドも積極的に絡むというのを求められていると思うので、しっかりやっていきたい」

「自分たちのやるべきことを徹底してやっている」

結果的に韓国の粘り強さの前に日本は屈した。相手にアジャストされ打開策を見いだせず、ターンオーバーから失点を重ねた日本に対し、韓国はどこか余裕を持ってリングにアタックしてディフェンスを崩していった。宇都はそんな韓国の強さをこのように語った。

「この間の試合から思っていましたが、韓国は自分たちがやるべきことを40分間ずっと徹底してやり続けています。第1戦では日本がかなり自分たちのやりたいことをしっかりできた上でシュートも入って勝つことができた。今回は自分たちのやるべきことをやっていた中で、自分たちからミスをして負けてしまったのかなと。その維持力というか、自分たちのやるべきことを徹底してやっているというのが韓国の強さなのかなと思います」

その徹底した遂行力は、韓国の武器でもあるフィジカル面でも表れていた。日本の選手たちは球際で負けたと口を揃えていたが、そうしたボールへの執着心でも日本は劣っていた。そんな中、ルーズボールに対し韓国の2選手がダイブし、宇都が遅れて飛び込んでヘルドボールにしたシーンがあった。

「先頭に立てるように僕はやっていきたい」

「シーズン中に肋骨をケガして痛みがまだ残っていて、それをかばって一瞬迷いました。ちょうど左側に来たので飛び込みました」と宇都はそのシーンを振り返る。果敢にボールに飛び込むプレーも宇都の持ち味ではあるが、完治していないケガを考え、無理をしたくない思いが働いた。

「プレーに影響が出るほどではないですし、ケガは言い訳にしかならない」と宇都は前置きした上で、「もっと気持ちを出してやり続けることが大事だと思う。その先頭に立てるように僕はやっていきたい」と自身がメンタル面でも牽引していきたいと意気込んだ。

代表生き残りレースは大詰めを迎えているが、「(ガードの)使いかたの意図が分からないので、ラマスと今度ちょっと話してみたい」と自然体な姿勢を貫く宇都。代表への個人的なこだわりはなく、いかに相手に勝てるかに気持ちがフォーカスしている証拠だ。ボールへの執着心やドライブ、長身ガードの強み、宇都の武器はきっと日本のアクセントになるはずだ。