ジャマール・マレー

仲間を称賛するマレー「 僕らの逆襲はGAME7に勝って完結するんだ」

最大19点のビハインドから逆転し、シリーズを3勝3敗のイーブンに持ち込んだナゲッツ。クリッパーズは堅固なディフェンスと選手層の厚さが武器で、一度優位を作られると簡単には引っくり返せないチームだ。そのクリッパーズを相手に痛快なパフォーマンスで逆転勝利を収めたのだから、気分が悪いはずはない。

指揮官のマイケル・マローンは興奮を隠すことなく、会見場に用意された椅子に座らず立ったまま語った。「どんな言葉で選手たちを褒めたらいいのか分からない。すべての言葉を言い尽くしてしまった。一つだけ言えるのは、私はこのチームを愛している、このタフなチームを愛しているということだ。今日の第3クォーターは私が率いた5年間で最高のものだった」

ニコラ・ヨキッチは34得点14リバウンド7アシストを記録し、ディフェンスでも相手に強烈なプレッシャーを掛けて、この試合の主役を演じた。ジャマール・マレーは鼠径部をケガしており、苦痛に顔を歪めながらのプレーとなったが、勝負どころの貴重なシュート成功を含む21得点を記録した。

だが、2人のエースの活躍はナゲッツにとってベースにすぎない。第5戦に続いてそこからの上積みがあったからこそクリッパーズを上回ることができた。その上積みを生み出したのは、ギャリー・ハリス、ポール・ミルサップ、トーリー・グレッグ、モンテ・モリスといった脇役たちだ。

ノーガードの打ち合いが続いたジャズとのファーストラウンド途中にケガから復帰したハリスは、チームに加わるとすぐに激しくソツのないプレーでチームのディフェンスを立て直し、ジャズを振り切る大きな力となった。先発として安定したディフェンスでチームを支える一方で、決して多くないチャンスを高確率でモノにして得点も重ねている。

勝利の決め手になったのは最終クォーター残り2分でのハリスのプレーだった。イビツァ・ズバッツがファンブルした瞬間を見逃さずスティールに成功、そこからの攻めでドライブを仕掛けたマレーが、ヨキッチに目線を送って右コーナーのハリスにパスを送る。絶好調のヨキッチに目線を送るだけで、相手ディフェンスは2人が反応していた。結果、フリーとなったハリスが3ポイントシュートを決め、続いてのポゼッションではカワイ・レナードをフェイントで振り払ってジャンプシュートを沈める。このハリスの連続得点がクリッパーズの闘志を断ち切った。

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モンテ・モリスは控えのポイントガードで、マレーが長い時間プレーするこのチームにおいて出番は長くない。それでもヘジテーションを多用するマレーに対し、コースが見えたら一直線に仕掛けるモリスのアタックは良いアクセントとなり、第5戦で12得点を、そしてこの試合では10得点を挙げている。第4クォーター残り10分、彼にも大仕事があった。セカンドチャンスのボールを拾うと迷わずリムへ一直線、レナードをかわした先に待ち構えたパトリック・ベバリーに阻まれたが、これはディフェンスのキーマンであるベバリーをファウルアウトに追い込むビッグプレーとなった。

ベテランのミルサップは、マレーとヨキッチが揃って調子が上がらないチームの窮地で力を発揮するタイプ。第3クォーター途中からの逆転劇のきっかけを作ったのは、間違いなくミルサップの攻守の奮闘だった。

マイケル・ポーターJr.はもはや説明不要だろう。初めてのプレーオフで物怖じせず、ハイレベルな戦いに身を置きながらもディフェンスでの難を何とか隠しつつ、オフェンスとリバウンドで魅力を見せている。1勝3敗と追い詰められた時点でポーターJr.は「もっとボールを動かさないといけない。得点できる選手は他にもいる」と、ヨキッチとマレーに依存するナゲッツの戦い方への憤りを漏らした。

この発言はチーム批判として物議を醸したが、結果としてチームは結束を強めた。ここから実際に『得点できる選手は他にもいる』ことをコート上で実証したことで、崖っぷちからの2連勝を挙げた。

ジャマール・マレーは鼠径部のケガを「大して痛くはない」と説明するとともに、頼もしいチームメートへ称賛の言葉を惜しまなかった。「素晴らしいプレーができた。これ以上は望めないぐらいの出来だった。ボールはよく回っていたし、ディフェンスではお互いにカバーし合った。これは全員が勝ちたくて一つになった結果だ。大差を付けられていても一つのポゼッションに、それが終わればまた次のポゼッションに集中した。ベンチも含めて全員が結束して戦っている」

追い詰められても押し返すナゲッツの強さを、マレーはこう説明する。「この2シーズンのプレーオフで経験したことが大きい。あきらめずに全員で戦えば何とかなると知っているからね。16点差を付けられていても、そこから再スタートできる」

クリッパーズを追い詰めたナゲッツがシリーズ突破を決めるか、それともクリッパーズが意地を見せるか。激闘必至のGAME7に向けてマレーはこう語った。「僕らは目の前の試合だけを見ている。僕らの逆襲はGAME7に勝って完結するんだ」

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