JX-ENEOSサンフラワーズは今年からチーム名称を『ENEOSサンフラワーズ』に変えて再スタートを切る。昨シーズンは新型コロナウイルスの影響で優勝チームが決まらないままに終わった。あらためて12連覇を目指す『女王』ENEOSは、吉田亜沙美と藤岡麻菜美が退団。チームの顔である選手がいなくなったが、チーム最長在籍選手となったキャプテンの岡本彩也花は連覇に自信を持っている。その根拠は「チーム全員が常にバスケに向き合っている」こと。それが揺らがない限り、自信も揺らがない。
「プライドがあるから、大事な試合で力が出せる」
──長い長いオフになりました。半年ものオフをどう過ごすか、キャプテンとして意識した部分はどこですか?
選手のモチベーションをどうやって維持するか、チーム練習が再開するまでは声を掛けたりすることをすごく意識しました。寮と体育館が繋がっていて、外に出ることなく練習ができるので、緊急事態宣言の中でも少人数で時間を区切って走ったり練習したり、体力を落とさないようにはできていました。それでも普段はシーズンが終わると休みがあって、そこから新しいシーズンに入っていくのですが、今回はずっとトレーニングをしたりバスケをしたりで休んでいる感じがなくて、メリハリはなかったですね。
私自身、モチベーションを保つのは難しかったですけど、いつ試合ができるようになっても大丈夫なように体力を作っていました。でも、みんなは難しそうでした。実際、5対5ができずにゲームライクな練習ができなかったのは大変だったと思います。
──昨シーズンからキャプテンを務めていますが、自分でも『板に付いてきた』という感覚はありますか?
昨シーズンは何だかんだ吉田さんもいて、頼ってしまった部分もあったのですが、今シーズンは私と渡嘉敷がチーム最年長になったので、2人でしっかりとチームを引っ張っていかないといけないと、自覚も責任も持ってやっています。そこは今シーズンの違うところですね。
──吉田選手はまさにキャプテンという感じで、背中でチームを引っ張る存在でした。その後任はプレッシャーなのでは?
プレッシャーはありますね。私はあまりキャプテンって性格じゃないのでチームをまとめるのは難しいんですけど、吉田さんも渡嘉敷も手伝ってくれたので、1年目はできたんだと思います。私は人にワーッと何か言うタイプじゃないので、全然キャプテン向きじゃないんですよ(笑)。でもそれも含めて自分が成長できる場面だと思って引き受けました。ただ、そこは一人で頑張ろうとしないで周りの助けを借りながら、意見をもらってコミュニケーションを取りながらやっていくつもりです。
「私はディフェンスでみんなを引っ張ってきた」
──吉田選手と藤岡選手が一度に抜けたポイントガードのポジションをどう見ていますか? 岡本選手が1番をやったり、その仕事をある程度はこなすとか、そういうことも考えていますか?
宮崎(早織)が7年目で経験値も上がってきていますし、2人が抜けたことで本人の自覚と責任も増しているので、やってくれると思います。みんなからの期待を背負い頑張っている姿を見てもらいたいです。私がポイントガードをやることも、もしかしたらあるかもしれないけど、ちょっと難しいかもしれません。高校では1番をやっていたので、できることはできると思いますがブランクがありすぎます(笑)。
それよりも自分のプレーをしっかりやりたいです。このチームはみんな点が取れますが、流れが悪くなった時にディフェンスからブレイクするのがルールです。私はディフェンスでみんなを引っ張ってきたので、それを続けたいと思います。
ディフェンスについては自信があって、シュートが入らない時もあればチームの調子が悪い時もあるんですけど、ディフェンスを頑張っていれば流れが来ると思っています。自分のディフェンスで相手のポイントガードを止めるのが毎年の目標なので、そのディフェンスの質を上げていくことを毎年意識しています。
──ずっと連覇しているチームのスタメンであり続けていますが、日本代表に縁がありません。サイズだけの問題だと思うのですが、そこはどう受け止めていますか?
とりあえずこのチームで勝っていきたいという気持ちが最優先ですね。もしかしたら自分に自信がないのかもしれませんが、「代表に行きたい!」という考えがあまりないので。それよりもこのチームで勝ちたい、このチームを勝ちに導きたいのが一番なんです。毎年毎年どうなるか分からないし、勝てると決まったわけじゃなく、私としても毎年勝てるという自信を持って開幕を迎えているわけではありません。その年その年でチームは違うし、周りのチームもレベルアップしていくので、それ以上に自分たちがレベルアップしないといけない。今のところはそれだけに集中しています。
──では、新しいENEOSサンフラワーズのバスケをこれから作って、勝ち続けていくことへのプレッシャーはどう感じていますか?
プレッシャーというより、どんな感じで戦っていけるのかが楽しみです。ベースは変わらなくて、ディフェンスからブレイクですけど、流れが悪くなった時にどう我慢するのか、そこで自分がどう引っ張っていけるのかを考えると楽しみです。そこは自分が成長できるところだとも思っています。渡嘉敷と自分でチームを引っ張っていくつもりです。
「相手がどう思っても私たちがやることは変わらない」
──メンバーは変わっても、いつもと変わらないサンフラワーズのバスケができれば強い、という自信は揺らがないようですね。
そうですね。誰かが抜けたから負けたとは絶対に思われたくないです。やることは一緒なので、それをひたすらやるだけです。このチームはみんなが目標に向かって、それを意識して毎日やっているから勝ち続けていられるんだと思っています。そのことに対してのプライドがあるから、大事な試合で力が出せるのだと思います。
どこにも負けたくないし、もちろんすべての試合に勝ちたいし、勝つだけじゃなく内容も追い求めたいです。だからこそみんなが気持ちを一つにして、同じ目標に向かって進んでいけるのだと思います。
もしかしたら今シーズンは「チャンスがあるかも」と他のチームが思うかもしれないけど、そう思ってくれたら大丈夫です(笑)。ただ、相手がどう思っても私たちがやることは変わらないので、いつも通りレベルアップを目指してやっていきます。
──11連覇していますが、その間にも各ポジションで世代交代がありました。今回もチームが変化する時期で、その中で勝ち続けるのは簡単ではないと思います。
難しいですね。勝ち続けていると特に、レベルアップしているのかどうか分からなくなる時があります(笑)。でも、レベルアップを実感できるのが皇后杯のような一発勝負の試合で勝った時ですね。大事な試合でそれぞれが自分の仕事をちゃんとできているかどうかが問われるので。
そう思うのは自分が3年目でスタートになった時のオールジャパンでトヨタ自動車に負けたことが大きいです。その時は「自分が入ったから負けたのかな」とやっぱり思ってしまったので。まだまだ成長できていない段階でスタートで使ってもらって今まで勝ってきたのに、大事な試合で負けるということは……とすごく考えました。今までで一番の挫折かもしれません。でも、その時の気持ちはずっと忘れていないし、今も「もうそんな気持ちは味わいたくない」と思って毎日やっています。
──チームの目標は2冠だと思いますが、個人としての目標はどこに置きますか?
いつもと変わらずディフェンスを強化することです。チームが苦しい時にディフェンスから流れを持ってきたいです。
──それでは最後に、ENEOSファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
いつも応援していただいて本当にありがとうございます。バスケットができること、ファンの皆さまがいる中で試合が開催できることを感謝してプレーしていきたいので、今まだ大変な状況ではあるんですけど、自分たちも皆さんに勇気とかパワー、元気をあげられるように頑張っていきます。応援よろしくお願いします。
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