ラスト1分を切った勝負どころで痛恨のファウルアウト
ディフェンディング王者のラプターズが、今シーズンは東カンファレンスセミファイナルで姿を消した。セルティックスとのシリーズでは初戦から2連敗を喫したものの、その後2勝2敗、そして3勝3敗のイーブンに戻して『GAME7』へと望みを繋いだが、87-92で敗れて連覇はかなわなかった。
最終クォーター残り2分の時点で6点のビハインド。だが、チームリーダーのカイル・ラウリーが連続得点を挙げて残り1分を切ったところで87-89と2点差に。まだ負けてはいても、セルティックスを1ポゼッション差に追い詰めたと言える状況で、また昨シーズンからプレーオフで修羅場をくぐり抜けてきたラプターズには追い付き、逆転する自信があったはずだ。
しかし、抜け出したかに見えたノーマン・パウエルのシュートを阻んだマーカス・スマートのチェイスダウンブロックのインパクトが、ラプターズの勝負強さを狂わせた。ケンバ・ウォーカーのアタックは止めたものの、そのこぼれ球をグラント・ウィリアムズと争ったカイル・ラウリーが痛恨のファウルアウトに。闘志溢れるプレーで攻守のキーマンとなっていたラウリーが退場した時点で、ラプターズの勝機は潰えた。
「この試合に負けるのはつらい。でも、相手は素晴らしいプレーをしていた。マーカスの素晴らしいブロックがあり、そしてグラントと腕が絡んでしまって僕はファウルアウトになった。彼がフリースロー2本を外してウチにチャンスが来たと思ったけど、(ジェイソン)テイタムにリバウンドを奪われてしまった。ちょっとしたことの積み重ねだけど、そういうプレーが必要だった。本当につらい結果だ」とラウリーは試合後の会見で語った。
これでラプターズのシーズンは終わり、オフにはフレッド・バンブリート、マルク・ガソル、サージ・イバカらがフリーエージェントになる。主力が退団する可能性についてラウリーは「彼らが勝ち取った権利」と表現し、どんな道に進むにしても支持すると語った。
「ウチにはフリーエージェントになる選手が何人かいるけど、みんなが良い契約を結べたら僕もうれしい。特にフレディ(バンブリート)のように本当に努力している選手の将来は楽しみだよ。僕はこのリーグで14年もプレーできていて、若い選手を引っ張っているけど、それと同時にみんなのおかげで日々レベルアップしようという気持ちになれる。チームのみんなのことを誇りに思う」
「もちろん、マルクとサージにもチームに残ってもらいたい。 彼らは真のプロだから年齢は関係ない(ガソルは35歳、イバカは30歳)。僕だって34歳だけど、自分のプレーができている」
これで『バブル』から去ることになるラウリーは「子供たちに会える」と語りつつも、複雑な胸中を明かしている。「家に帰って子供たちに会えるけど、帰りたくはない。息子だって『パパが優勝するところを見たい』と言うだろうね。でも、家に帰るよ」
シリーズを通してセルティックスに徹底マークされたパスカル・シアカムに対する批判は、試合を重ねるごとに強まった。ラウリーはシアカムの成長を確信し、擁護した。
「パスカルが経験していることを、僕も若い頃に経験した。怒りは力に変わる。彼から何かを聞かれても、『何も間違っていない。学んでいる最中だろ』と答えるよ。この経験が彼をさらにハングリーにするし、よりやってやろうという気持ちにさせる。彼なら必ずもっと成長できる」