文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

本橋菜子とオコエ桃仁花がデビュー戦で躍動

バスケットボール女子日本代表の国際強化試合、『三井不動産カップ』がアリーナ立川立飛で行われ、日本代表はチャイニーズ・タイペイ代表に96-66と大勝した。

吉田亜沙美と大﨑佑圭がメンバーから外れ、渡嘉敷来夢も体調不良で欠場。リオ五輪から続くチームの柱がごっそり抜けたメンバー構成となったが、AKATSUKI FIVEは立ち上がりから最高のパフォーマンスを披露した。

先発は町田瑠唯、水島沙紀、長岡萌映子、宮澤夕貴、髙田真希で、最初のオフェンスから速攻が飛び出す。町田はメリハリの利いたゲームメークでアップテンポなバスケを展開。ボールをシェアして決定機を作り出していく。ただ、インパクトがあったのはオフェンスよりもディフェンスだった。全員フットワーク良く、チャイニーズ・タイペイの揺さぶりに対してズレを作らせず、イージーシュートのチャンスを与えないどころか、リングに向かってアタックする形さえも作らせない。テストマッチのため早めに選手が入れ替わるも、守備の連動は崩れなかった。

この試合が代表デビュー戦となった本橋菜子とオコエ桃仁花は一際目立った。本橋は前からの激しいプレッシャーディフェンスとズレを逃さない強気なパスで12アシストを積み上げた。本人はアシストについて「私のパスというより決めてくれたチームメートのおかげ」と謙遜したが、トム・ホーバスヘッドコーチも「判断が良い」と称賛する出来だった。またオコエはアグレッシブなディフェンスで相手の出足を潰し、2本の3ポイントシュートを沈めて6得点7リバウンドを記録。「コートに立った瞬間、頭が真っ白になってしまったんですけど、思い切ってやれました」と笑顔でデビュー戦を振り返った。

誰がコートに立ってもパフォーマンスの落ちないチームに

前半が終わった時点で57-21と、この段階で日本代表の勝ちはほぼ決まり。後半に少々リズムは崩したもののアグレッシブなスタイルは継続させ、第4クォーター残り3分半に藤髙三佳が3ポイントシュートを決め、出場13選手が全員得点を記録した。

チャイニーズ・タイペイもエース格の選手を欠いていたが、条件は日本代表も同じ。層の厚さと誰がコートに立ってもパフォーマンスの落ちないチームとしての完成度の高さを見せ付ける結果となった。それでもヘッドコーチのトム・ホーバスは「もっと面白いバスケもできる。ライバルも見ているので全部は見せなかった」と、チームには上積みが残されていると明かした。

現在の代表候補選手は16人。9月のワールドカップの登録は12人で、個々の選手にとっては生存競争が続く。ケガで出場のなかった藤岡麻菜美、根本葉瑠乃についてもホーバスヘッドコーチは「元気になればチャンスがある」と言及。「8月まで15人いてもいい」と厳しい競争の中でワールドカップで勝てるチームを作っていく。