「決めるつもりで打った。驚くようなことじゃない」
NBAの歴史で0-3からプレーオフのシリーズを勝ち抜いたチームは一つもなく、ディフェンディングチャンピオンのラプターズには奇跡が必要だった。2連敗で迎えたセルティックスとのカンファレンスセミファイナル第3戦、第4クォーター残り0.5秒で、ケンバ・ウォーカーの鮮やかなパスからダニエル・タイスがダンクを叩き込み、101-103と勝ち越されて絶体絶命の状況にあった。
しかし、ここで奇跡を起こしたのはOG・アヌノビーだ。カイル・ラウリーからのインバウンドパスは228cmのタッコ・フォールを越え、コートの反対側でオープンだったアヌノビーへと渡る。ショットクロックがゼロになる寸前にアヌノビーが放った3ポイントシュートは、ブロックに来たジェイレン・ブラウンの手をわずかにかわして、リングへと吸い込まれた。
アヌノビーの起死回生のショットでラプターズは104-103で逆転勝利し、シリーズ突破へ望みをつないだ。ブザービーターを決めたアヌノビーはチームメートに揉みくちゃにされ、試合後に「鼻を叩いたヤツがいたけど、大丈夫だよ」と振り返った。
劇的なブザービーターだったが、彼は落ち着いた様子で「決めるつもりで打った。外すつもりで打つヤツはいないよ。別に驚くようなことじゃない」と語るに留めた。まだ1勝2敗と負けが先行しており、この先も厳しい戦いが続くことを覚悟しての言葉だ。
タッコのプレッシャーにも負けず、コートの反対側にいるアヌノビーへ完璧なロングパスを合わせたラウリーのプレーも見事だった。だがラウリーは「パスなんてどうでもいい。シュートを決めたのはOGだ。彼が勝利の立役者だよ。タフなショットだけどよく決めてくれた。あの瞬間はOGのためにあったんだ」と仲間を称えた。
大一番でほぼ48分間プレーしたラウリーは31得点8アシスト6リバウンドを記録し、フレッド・バンブリートが25得点、パスカル・シアカムが16得点、アヌノビーは12得点を記録して勝利をつかんだ。
敗れたセルティックスはケンバ・ウォーカーが29得点、ジェイレン・ブラウンが19得点12リバウンド、ジェイソン・テイタムが15得点9リバウンド6アシストを記録。試合後、ウォーカーは「相手があきらめないとは分かっていた」としながら、「相手の選手を褒めるべきだ。とんでもないショットだったよ」と素直に負けを認めた。
熱戦が続くNBAのプレーオフは、5戦連続で最終ポゼッションで勝敗が決まるスリリングな展開となった。ラプターズvsセルティックスの第4戦は現地5日に行われる。