文=丸山素行 写真=鈴木栄一

相次ぐファウルトラブルに

チャンピオンシップのセミファイナル、千葉ジェッツvs琉球ゴールデンキングスの第2戦。終盤まで点差が開かない展開となったが、終盤に小野龍猛のポストプレーから流れをつかんだ千葉が72-64で接戦をモノにし、2連勝でファイナル進出を決めた。

ディフェンスを持ち味とする両チームだけに、序盤は強度の高いディフェンスとカバーリングの守り合いとなり、14-14と互角で第1クォーターを終えた。第2クォーター残り5分33秒、千葉は大黒柱のギャビン・エドワーズが3つ目のファウルを犯しベンチへ下がり、さらにアグレッシブなディフェンスが裏目に出てチームファウルも5に到達した。ここで均衡が崩れてもおかしくなかったが、千葉は琉球のインサイドを突く攻めに耐え、オフェンスでもペイントタッチからの外角シュートで応戦し、このピンチを乗り切った。

後半、トランジションからアキ・チェンバースの3ポイントシュート、マイケル・パーカーの得点で千葉が7点リードと抜け出すも、古川孝敏と田代直希に3ポイントシュートを浴びて詰め寄られると、前半で12得点を挙げてチームのリーディングスコアラーとなっていたレオ・ライオンズが4つ目のファウルをコールされ、再びファウルトラブルでピンチに陥る。岸本隆一にブザービーターを決められ、1点ビハインドで最終クォーターを迎えた。

小野のポストプレーで流れをつかんだ千葉

第4クォーターも互いにタフなディフェンスをかいくぐり得点する展開が続いたが、千葉は今度はエドワーズが4つ目のファウルを犯す。これで流れが琉球に傾くかに思われたが、千葉は小野のポストアップを強調し、このピンチをチャンスへと変える。

小野はポストアップから得点し、さらにパスを散らしてエドワーズのシュートをアシスト。残り4分半、小野が再びポストプレーから難しいシュートを沈め、66-58と最大点差に広げたところでオフィシャルタイムアウトを迎えた。

その後は琉球が盛り返し、ヒルトン・アームストロングのダンクや岸本のフリースローなどで追い上げたが、ノーマークのシュートを決めきれない詰めの甘さが出て追いつくには至らない。そして残り27秒、千葉が3点リードした場面でライオンズが強気に放った3ポイントシュートが決まり、70-64としたところで勝負アリとなった。

「昔のジェッツだったらゲームにフォーカスできなかった」

千葉の大野篤史ヘッドコーチは「しっかり我慢してゲームを最後まで作ってくれたおかげで勝ち切ることができた」と、勝利を喜ぶよりは負けずに安堵した、という表情を浮かべた。

外国籍選手のファウルトラブルに苦しみながらも勝ち切れた要因として、シーズンを通してチームが成長したことを挙げた。「ここ2試合は自分たちのオフェンスの展開に持っていけなかった。その中で我慢して自分たちのハーフコートのオフェンスを作れたところが非常に成長したと思います。お互いが信頼し合ってチームとしてボールを動かして、誰が今アドバンテージがあるのかをしっかり見れた」

かつてのチームと比較した強さを、大野ヘッドコーチは誰よりも理解している。「今日に限っては、昔のジェッツだったらレフェリーと戦ってゲームにフォーカスできていなかった部分がありましたが、しっかりゲームにフォーカスして試合にしっかり集中したことが勝利につながった」

「チームとして最後まで戦ったのは誇りに思っています」

琉球にとっては勝つチャンスがあっただけに悔しい敗戦。佐々宜央ヘッドコーチは、敗因をこのように語った。「昨日とゲームプランを変えながらファウルにつけこむ戦い方をしました。ゲームプランとしては上手くいっていたんですけど、そこを突き切れなかったということです」

本当に選手は持っている力をすべて出してくれたと思っているので、僕が上手く指揮できなかったのは自分としても残念でした。ただ本当にチームとして最後まで戦ったのは誇りに思っています」と総括し、会見場を後にした。

チャンピオンシップ・セミファイナルのもう1試合、シーホース三河vsアルバルク東京は、2戦連続の延長戦をA東京が制した。その結果5月26日に横浜アリーナで行われるファイナルは千葉vsA東京の対戦となった。