大阪エヴェッサは今オフの編成で、エリエット・ドンリー、角野亮伍、駒水大雅ジャックと海外でプレーしていた若手を次々と獲得した。その中でもオーストラリア人の父、日本人の母を持つ駒水大雅ジャックは、これまで日本ではあまり馴染みのないオーストラリアからの逆輸入選手として興味深い存在だ。200cmのスモールフォワードは潜在能力を買われて日本代表のBチームに選出され、『BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE』では他に先駆けてそのダイナミックなプレーをお披露目している。その彼はこれまでどんなバスケットボール人生を送ってきたのだろうか。
「火神大我は僕と同じ名前なので愛着があります」
──奈良出身で、オーストラリアで育ったんですよね。
4歳まで日本にいて、その後で父の仕事の関係でオーストラリアに移住しました。バスケットボールを本格的に始めたのは高校に入った16歳の時からで、そこから大きく成長することができたと思います。
日本には、これまで何度も来ていて、エヴェッサに加入する前にも1月に訪れています。祖父母に会い、東京や白馬に行ったり、他にあまり一般の観光客が訪れないようなところにも足を運びました。祖父母とは仲が良く、ずっと交流が続いています。せっかく日本に来たので、今の新型コロナウイルスの状況が落ち着いたらまた会いにいきたいです。
──日本に関連するもので興味があるもの、好きなものは何ですか?
日本の食べ物やカルチャーはもともと大好きで、日本のバスケットボールに関連しているものは、前から興味があります。例えば『黒子のバスケ』はずっと読んでいました。特に火神大我は僕と同じ名前なので愛着があります。食べ物はラーメンが好きで、タコ焼きもおいしい。ユニバーサルスタジオにいずれ行きたいと思っていて、楽しみにしています。
──高校時代は、陸上でも州選手権で好成績を残すほど活躍していたと聞きます。陸上を続けてもおかしくなかったし、オーストラリアではラグビーが最も人気のあるスポーツです。バスケを選んだのには何か理由があるのですか?
陸上も好きでしたが、バスケの方が楽しかったし、自分に合っていると思いました。ただ、陸上を続けたことはバスケットボールにも良い影響があったと思います。スピードや身体能力を高めてくれて、バスケとは違う観点で成長することができました。ラグビーは見るのは好きなんですが、自分でやろうとは思いません。ラグビーは故障や脳震盪とかが他のスポーツと比べても多くて危険な印象がある。僕の高校はラグビーが強かったけど、興味はなかった。オーストラリアでは夏がバスケットボールのシーズンで、ラグビーは冬に行う競技。冬は陸上を続けながらバレーボールをやっていました。
──高校を卒業し、今回エヴェッサに入団するまでのキャリアについて教えてください。
高校を卒業してアメリカの大学に入ったんですけど、チームとの関係があまり上手く行かなくて、続けるのは自分にとって良い選択ではないと思い、オーストラリアに戻って地元の大学に入学し直したんです。バスケも大事ですが、学位を取得するのも僕にとっては大事だという思いでした。今は日本にいますが、授業は状況が落ち着いたらオンラインでも履修できると思います。
それと同時にワラタス州リーグに所属するメイトランド・ムスタングスのトップチームとU22チームの両方でプレーしていました。このリーグは、国内トップリーグであるNBLと直接の繋がりはないのですが、NBLより1つ下のカテゴリーという感じです。個人的にはB1とB2の関係に似ていると思います。リーグ自体はプロではないけど、プロ契約のアメリカ人選手がプレーしていたし、レベルは高いです。
日本バスケ界の状況も気にしていました。Bリーグのことも最初から知っていて、YouTubeでハイライト映像を見ていました。どのチームと契約するのか決める前に、ジョシュ・ハレルソン、アイラ(ブラウン)、タクヤ(橋本拓哉)などエヴェッサのプレーもチェックしていました。
Bリーグは常に選択肢の一つとして考えていましたが、オーストラリアより日本が僕を評価してくれたことが決め手になりました。僕はバスケを本格的に始めてまだ5年ですが、プロ契約のオファーをもらったわけですから。代理人は日本からオファーが来ると自信を持っていて、交渉を進めてくれました。現時点で僕は素晴らしい経験ができているし、正しい選択ができたと思います。
──新型コロナウイルスのことは心配ではありませんでしたか?
それで来日を躊躇することはなかったです。日本はとても清潔だし、衛生管理の行き届いた国だと知っていたからです。実際に、オーストラリアよりも日本の方が感染者の数などを比較すると安全ではないかと思います。
「ジャンプ力、コートを走るスピードは武器になる」
──これまではどのポジションでプレーしていましたか。また、自分の強みはどこにあると思いますか。
身体能力が僕の強みです。ジャンプ力、コートを走るスピードは武器になるはずです。ここ数年は3ポイントシュートやフリースローを向上させることで、より自信を持ってシュートを打てるようになっています。これまでは主にウイングでプレーしていましたが、4番で起用されることもありました。
ポイントガードがファウルアウトした時のように限られたケースでは、ポイントガードもやった経験があります。でもオーストラリア時代は、相手がフルコートでのディフェンスを仕掛けてくることもなかったので、問題なくボールを相手コートまで運ぶことはできていました。Bリーグは今まで僕が経験してきたバスケとはスタイルもレベルも違うので、慣れるのに少し時間は必要だと思います。ただ、いろいろと学んでいけばボールハンドラーもできるようになると思っています。
──同じタイミングで加入した同世代のドンリー、角野選手とはどんな関係ですか。
エリエットとは住んでいる場所も同じなので、練習に行く時は一緒に移動しています。リョウゴは陽気でいいヤツだよ。2人は本当に練習熱心で、自分に厳しいところは尊敬しています。他の選手たちもいろいろと僕を助けてくれます。例えばタクヤは面白い人で、よく笑わせてもらっています。とても良い環境でバスケットボールができていると感じています。
──プロバスケットボール選手としてのキャリアが始まることについて意識していることはありますか。また、Bリーグで活躍するため特に順応しなければいけないのはどんな部分ですか。
プロバスケ選手という肩書は素晴らしいものだけど、アマチュアからプロへと変化することは特に意識していない。僕が気にしているのは、常に自分を高めること。バスケを始めたのが遅かったので、どんどん成長し、弱点を克服していかないといけない。
Bリーグでプレーするためには、特にスピードの違いにアジャストする必要があると思います。日本はサイズの大きい選手が多いわけじゃないから、ガードやウイングの選手たちが主体となってプレーします。彼らは早いテンポでシュートを打ち、守備でも前から激しくプレッシャーをかけてくるので、そこは自分が適応しないといけない。また、オーストラリアはオフェンス主体でみんな点を積極的に取りに行っていたんですけど、日本ではディフェンスも重視しないといけないと思っています。
──最後にファンへのメッセージをお願いします。どんな名前で呼んだらいいですか。
タイガって呼んでもらいたいです。タイガはオーストラリアでも自分のファーストネームでしたから。シーズンが始まって、ファンのみんなの目の前でプレーする姿を早く見せ、より多くの勝利を挙げたいです。そして日本代表として、国際試合でもプレーできるようになりたいと思っています。
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