比留木謙司『悔しい学びのシーズン』を終えて(後編)「僕は必ずしもFIBAルールに100%沿う必要はないと思う」

2018/05/24
Bリーグ&国内
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取材=古後登志夫 構成=鈴木健一郎 写真=古後登志夫、B.LEAGUE

比留木謙司『悔しい学びのシーズン』を終えて(前編)
「チームの力になれない悔しさ、評価が上がらない焦りの1年」

「良い環境でやればやるほど選手の能力の底上げになる」

──Bリーグが始まって2年目のシーズンが終わろうとしています。選手の目線から見たバスケ界の変化はポジティブなものですか?

旧企業チームの話になりますが、選手の環境というところで言えば、オリンピックに向けて強化を進めている中で、リーグと代表はすごく密接な環境にあります。リーグが育たないと代表も育ってこないです。選手たちが良い環境でやればやるほど、それは選手の能力の底上げになるし、それはまたプレッシャーにもなります。これだけの環境にいるんだから成果を残さないといけないのは間違いないです。選手の年俸も上がっていってほしいんだけど、環境を整備していくのがかなりの必須課題だと思います。

そのためにはメディア戦略がデカいですよね。思い付きじゃなく、パイプを持った人間だったり、そこに投資を厭わない姿勢が必要です。スポンサーももちろん大事なんですけど、知ってもらわないことには始まらない。スポンサーもみんなが知らないものには投資しないので。

一番メディアへ働きかけをしなきゃいけないのはリーグです。1年目と2年目で比べて、パンチは1年目のほうが強かった。リーグの人たちが努力していないわけじゃなくて、ただもっと面白いコンテンツになるように努力しなければいけない。でも、やっぱり開幕とチャンピオンシップぐらいは地上波で見たいです。

──レギュレーションもファンの間では意見が分かれるところです。

3地区制については、僕は個人的に18チーム総当たりで良いと思います。ただそうすると4回戦やろうとすると60試合を超えちゃうんですよね。3地区制は例えばアウェーのファンが足を運びやすいメリットがあったりしますが、どのチームと何回対戦するかバラツキが出るのが引っかかる。それより60試合に加えてチャンピオンシップ、という試合数とケガとの関連が気になりますね。

今年はケガ人がすごく多かったです。そこで控えの選手の質であったり、代わりの外国籍選手をすぐ取ってこれるソースを多く持っているチームが強いチームだ、ということになりました。ケガを出さないチームの努力であったり、そういうところが見えてくるのは面白いです。でも選手目線で見ると、データではなく印象ですが、ケガ人は明らかに多くなったし、しかもACLやアキレス腱とか深刻なケガが増えています。来シーズンはさらにスケジュールを詰めて水土日で試合をする。チームは勝ちたいので、メインの選手が30分から35分プレーする状況は変わらないでしょう。選手はやっぱりリーグが持ってるコンテンツの主軸なので、良い選手がケガをしていくのは見たくないですし、そこの負担というのはちょっと考えてしまいます。

「ケガの仕方が疲労の蓄積によるものと感じる」

──競技レベルの向上に伴いよりフィジカルになってきたこと、またそこでプレーレベルをコントロールすべき審判のレベルもケガが増えたことに関係があるとは感じますか?

バスケットのレベルはBリーグになって間違いなく上がっています。ただ、ケガの仕方が疲労の蓄積によるものだと感じるんです。体制の整っている旧企業チームと元bjで予算規模の大きくないチーム、まんべんなくケガをしているので。ケガ人は付き物ですが、ここは誰かがメスを入れてもいいのかなと思います。試合数が少なかった時代との比較、ケガのリスクはどう抑えられているのか、どのぐらいタイムシェアが有効なのか。クラブ側としては1試合1試合がお金を稼ぐチャンスで、その試合数を減らすことはなかなか考えづらいので、ケガを抑えるために時間制限をするような試みがあれば面白いですね。

身体の強い選手が入ってきてよりフィジカルになって、選手の身体への負荷が増しているのは間違いないのですが、それが大きなケガにつながっているかは分からない。僕はどちらかと言えば、60試合というのと選手のコンディションがマッチしていないというイメージです。今でも選手のコンディショニングにあまり重きを置かないチームはありますからね。

──審判と選手との関係性は昔はすごく悪かったのが、かなり良くなっていると感じます。

審判も見られる意識が増えたんだと思います。より脚光を浴びることによってビジネス性が高まっていく。そこのメインは何かと言えば、選手たちが見せるバスケットボールエンタテインメントです。レフェリーがマニュアル通りの判定をすること、プライドを守るためにテクニカルをばんばん取るのは違うよ、というのは浸透してきたと思います。だからレフェリーと選手の関係性で言うと、互いのリスペクトは増したと思います。とはいえ、何千人もの観客の前でまるでレフェリーが悪いかのような対応を選手がすれば、審判も「ちょっと待てよ」となりますよね。

リーグからの発信も、コーチや選手の勉強もそうなんだけど、もっとルールが浸透するようになればいいですね。それは解説者やメディアももっと勉強してほしいです。ただ、FIBAが毎年ルールを変更するので、僕らも追い付けないことがある。細かい変更が意外とゲームに大きな影響を及ぼすとか。今シーズンで言うとアンスポーツマンライクファウルの基準がそうでした。アンスポーツマンライクを吹かれてしまうとゲームへの影響は大きいのですが、ルールとしてそれが決まっているのであれば、レフェリーは吹かなければいけない。それは仕方ないですが、リーグ側がバスケットをより面白くするためにそれを採用するかどうかは、僕は必ずしもFIBAルールに100%沿う必要はないと思っています。僕はFIBAが嫌いなんで。

──嫌いというのは?

FIBAのバスケットとか考え方が純粋に面白くないです。NBAの方が理にかなってます。見せるバスケット、戦略の奥深さもNBAのほうが絶対に深いです。FIBAルールは合点がいかないことが多いというか、理解できない点も結構ある。わざわざNBAから離れているイメージを受けます。アメリカではルール変更の理由が分かりやすく明確に発表されますが、FIBAにはそれがありません。BリーグはFIBA傘下で、日本代表の強化もあるからFIBAルールに沿ってやりたいのは分かります。ただ、必ずしも100%沿わなくてもいいんじゃないのと。レフェリーと選手が共通の理解を持っていて当たり前の前提で話をしてますけど、僕らは彼らの努力をある程度は知っていて、それでミスがあることも理解しています。

「シーズンが終わったばかりだから広く考えています」

──三遠との契約が終了して、これから新しいチーム探しです。個人的にはどうなっていきたいですか?

いろんな考え方があります。B1に残りたい思いもあるし、B2のチームを昇格させる作業だったり、そもそもチームのバスケットの質を上げる役目を担うことができれば、とか。契約満了になったから早く次を決めたいんだけど、今はシーズンが終わったばかりだから広く考えています。それがB2であろうが、言ってしまえばB3であろうが、自分らしくインパクトを残せるのであれば場所は選ばないです。ただ、B1のほうが露出が全然違うから楽しいし、インパクトは残りやすいですね。

──今年も夏は3x3ですよね?

やります。比留木 やります。3人制はこの5月末に日本選手権が控えていて。その後に日本の国内リーグ、PREMIERが始まります。3人制は疲れますね。お休みをいただけないのはしんどいです(笑)。『TRYHOOP OKAYAMA.EXE』のチーム経営にも少し携わっていて、今すごく岡山で成功しているんです。ここ2、3年で驚くような動きを見せられると思います。選手しかできない人は選手を存分にやればいい。でも僕はそういうところにも頭が回るから、そこに時間や労力を割くのは苦じゃないし。僕は他の選手と違ったアプローチができるので、ビジネスサイドにも手を出しますし、考えをちょっとずつ選手に伝えることもやっています。

──では最後にファンの方へメッセージをお願いします。

昨シーズンは三遠でプレーさせてもらって、すごく勉強になることが多かったです。しんどかったですけど糧になることも多くて、ネガティブな要素をポジティブに変えていかないといけないのが選手であり、それが人生の本分だと思うので。来シーズンはもっともっと皆さまの記憶に残るようなことを、コート内外でまた「やっぱりあいつ頭おかしいな」ってみんなに言ってもらえるように頑張っていきたいです。どうか、ぬるっと見守ってくれればと思います(笑)。