ヤニス・アデトクンボ

信頼する仲間とともに、チームで勝ち取った受賞

2019-20シーズンの最優秀守備選手賞は、バックスのヤニス・アデトクンボに決まった。

昨シーズンのMVPである彼の受賞は何ら不思議なものではない。それでも投票により決められるこの賞で、100人中75人が彼に1位票を投じ、2位のアンソニー・デイビス(レイカーズ)、3位のルディ・ゴベア(ジャズ)に圧倒的な大差を付けての受賞となった。

マジックとのプレーオフファーストラウンド第4戦に勝ち、3勝1敗とシリーズ突破に王手をかけた試合後のロッカールームで、彼は受賞を知らされたと明かす。「いつも試合後にはミーティングがあって、ミスした選手とかがコーチから呼ばれる。今日は大丈夫だと思っていたのに名前を呼ばれたから驚いたんだけど、そこで受賞を聞かされた。僕は興奮のあまりテーブルに飛び乗って、その後のことは言わないでおくけど(笑)、とにかくコーチは心から喜んでくれたしチームメートも祝福してくれた。チーム全員に祝ってもらえたことが何よりうれしかったよ」

プレーオフを戦っている最中ということもあってか、アデトクンボは自分のことよりチームのことを話題にした。「チームメートがいなければこの受賞はなかったと思う」と彼は言う。

「このチームのディフェンスはNBAでトップで、僕らは常にお互いを信頼して一緒に戦っていて、その信頼の上でディフェンスが成り立っている。コーチにも感謝していて、(マイク)ブーデンホルザーの戦術があるから僕らはハードワークすることだけに集中できる。家族にも感謝したい。さっき連絡して、僕にとってどれだけ大事な存在かを伝えたよ。歴史に名を刻んだこと、過去の偉大な受賞者の仲間入りができてうれしい」

昨シーズンよりもスティールやブロックの数字を落としているが、それでも受賞できた。「スタッツが下がっているのはファウルを避けようとしているから。一番大事なのはチームの勝利で、やるべきことをやってチームが勝っているから受賞できたんだと思う。毎試合ハードワークしてチームメートのサポートがあれば、このような賞は自然とついてくるものさ」

投票では4位にチームメートのブルック・ロペスが入った。チームにとって一番の脅威であるアデトクンボの疲弊やファウルトラブルを避けるために奮闘するロペスの働きは、アデトクンボの影に隠れて目立たないが貴重なもの。アデトクンボは「このトロフィーを半分に切って、彼にあげたい」と言う。「どの試合でも彼とコミュニケーションを取って守っている。アグレッシブにプレーしろとか、この選手につけとかの言葉で常に僕をサポートしてくれる。2年間一緒だけど、彼のような選手と一緒にプレーできて幸せだ」

アデトクンボには、まだ発表されていないMVPとの同時受賞の可能性もある。「そうなったら素晴らしい。自分を信じてハードワークするのみだ。毎朝起きるたびに選手として成長したいと願ったし、実際にそうしてきた。うまく行かない日もあるけど、目標を見失うことはなかった。その結果、こうして賞をもらうことができたけど、これからもチームの勝利のために何ができるかに集中していきたい。過去に受賞した選手がそうだったように、僕もそうしたいんだ」