文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

「準備不足を突かれた」と自分たちの課題を指摘

昨日、シーホース三河との初戦を落とした栃木ブレックス。守備を強調した展開からの粘り勝ちは本来なら栃木の勝ちパターン。それだけに、粘り切れなかったショックは大きい。安齋竜三ヘッドコーチは気休めを言うのではなく、「ダメな時間帯にオフェンスもディフェンスもチームルールを遂行できなかった」と、指揮官として譲れない部分が崩れてしまったことを指摘。今日の第2戦に向けて準備し直すと誓った。

田臥勇太は18分間のプレーで8得点。前から激しいプレッシャーを仕掛けてディフェンスを引っ張り、劣勢を覆すべくアタックも再三仕掛けてチームを盛り立てようと試みる姿が印象的だった。それでも77失点を喫して敗れたのだから、課題は多い。

田臥は言う。「三河はどこからでも点数が取れるチームですので、いかに的を絞って、抑えるべきところを抑えるか。全部止めるのは本当に無理なので、一つでも多くタフなシュートを打たせるために全員でディフェンスを頑張らなければいけない。そこでちょっとしたズレだったり、コミュニケーション不足だったり、準備不足を金丸選手を始めとして突いてきて、得点につなげるチームです。そこで40分間戦う集中力がチャンピオンシップでは大事だと今日あらためて感じました」

「明日は今日より1分でも長く、40分間がベスト」

「いつも通りしっかりと、ディフェンスから入るというところを心掛けた」と田臥は言うが、実際には試合開始から10-0のランを浴びてのスタートに。「そういうことも起きてしまうし、長いシーズンではそういう時もあったので。でも40分間ありますので、慌てずに一つずつ返していこうという気持ちではありました」。ここからクロスゲームには持ち込んだまでは良かったのだが、40分間を通して粘ることはできなかった。

「40分間、激しさを保てなかった原因は?」との質問が飛び、田臥は「それが試合というか、それができれば勝てますからね」と苦笑しつつも言葉を詰まらせた。「1分でも長くできるようにレギュラーシーズンも戦ってきて練習してきて、今日の試合にも挑んでいます。明日は今日より1分でも長く、40分間がベストなので。原因はいろいろあるので、反省すべきところは反省しながら明日に集中したいと思います」

自慢の堅守が崩れた要因について「どれって言うのは難しいんですけど」と田臥。「でもやっぱり、その一つのポジションの抑えるべきところを抑えられなくて入れられて、その次のオフェンスも単発に終わってしまって相手が逆速攻に行ったりだとかで、流れがどんどんできてしまう。局面の流れを三河さんは逃さずにつかんだなという」

求められるのは「受け身にならない」気持ちの強さ

今日の第2戦に向けての改善点は、まさにこの部分となる。「自分たちはそこで流れをつかまれないように、さらに持っていけるように。ディフェンスとオフェンスも単発に終わるんじゃなくてしっかりボールと人を動かして良いシュートを打つように。それをもっとやれれば、流れはどうにかなった部分だと思います」

「ヘッドコーチが試合前に言っていたんですけど、とにかく思い切り良くシュートを打っていかないと。守りに入ったり受け身になってしまうと、少しでもそうなった瞬間に、特に三河さんみたいな経験のあるチームは突いてきます。そういう強さの部分を、みんなもう一度しっかり持って激しくやれればと思います」

安齋ヘッドコーチも田臥も、大きな一敗を喫した直後に課題に真正面から向き合っていた。相手を称えつつも「三河が良いプレーしたから」で片づけるのではなく、自分たちの課題と、それをどう改善するかにフォーカスしていたのが印象的だった。おそらく安齋ヘッドコーチは一睡もせずに対策し、今ごろは選手たちに今日の第2戦、そして来たるべき第3戦をどう戦うべきかをレクチャーしているのだろう。それをコートで実践すべくプレーで引っ張るのは田臥の役割。三河の選手が口を揃えていたのは「栃木がこのまま終わるはずはない」。今日も激戦必至。両チームの明暗がはっきり分かれた第1戦を受け、どのようなゲームになるのかが楽しみだ。