延長の残り3.7秒、自信を持って放ったシュートを決める
マーベリックスvsクリッパーズのプレーオフファーストラウンド第4戦は、まさにプレーオフらしい激闘となった。延長戦の最後までもつれる混戦を制したのはマブスだ。
オーバータイムの残り19秒、ルカ・ドンチッチがトップスピードからのスピンムーブでレジー・ジャクソンを振り切るレイアップを沈めて、132-130とマブスが勝ち越す。あとはクリッパーズの攻めをしのげば勝利という場面だが、残る19秒間も波乱に満ちたものだった。カワイ・レナードのキックアウトからマーカス・モリスがコーナースリーを沈め、残り9秒でクリッパーズが逆転。クリッパーズはファウルを使って時計を進め、残り3.7秒でマブスの最後の攻めが始まる。
ルカ・ドンチッチは第3戦で痛めた足首が万全ではなく、クリスタプス・ポルジンギスはひざの痛みを訴えて欠場。ドンチッチをベンチで休ませる苦しい時間帯をセス・カリー、ティム・ハーダウェイJr.、トレイ・バークの活躍で押し返し、最大21点差のビハインドを取り戻して延長へと持ち込んでいた。
第4クォーター序盤、ベンチで休む間も常に足首をケアしていたドンチッチだが、コートに戻った後は時間を追うごとに『ゾーン』に入っていく。3.7秒はさすがに時間が足りないかと思われたが、彼は常識が通じない次元に達していた。
ボールを受けたドンチッチはジャクソンを左右に振り回しての3ポイントシュートでリングを射抜く。その前のプレーでスピードで振り切られて失点していたジャクソンの寄せはわずかに足りなかった。雄叫びを上げる彼の姿は、歓喜して駆け寄るチームメートとスタッフであっという間に見えなくなった。
クリッパーズでは肩の故障を抱えるポール・ジョージがフィールドゴール14本中成功わずか3本とシュートタッチが戻らない。レナードが32得点、シックスマンのルー・ウィリアムズが36得点と奮闘したが、ドンチッチが上回った。
ドンチッチは43得点17リバウンド13アシスト、すべてがゲームハイのトリプル・ダブルを記録。バークが25得点、ハーダウェイJr.が21得点を記録している。
試合後のオンコートインタビューで、ドンチッチは「ウチには素晴らしい選手が揃っている。クリッパーズはリーグ屈指のチームだけど、僕たちもチーム全体で戦い、渡り合えることを示せた」と胸を張った。
ベンチにいる間もずっとケアを受けていた様子からして、第3戦で痛めた足首の状態は決して良くはないはずだ。「アドレナリンが出て乗り切った感じ。今朝起きた時には正直あまり状態は良くなかったけど、コートに入った瞬間に行けると思った」とドンチッチは説明する。
「勝ったことで自信は強くなったけど、自信はずっとある。自信がなければここにいるべきではない。だからこそ2勝できた」とドンチッチは言う。これで2勝2敗のイーブン。このシリーズはまだまだ一波乱も二波乱もありそうで先が読めないが、その間にクリッパーズがドンチッチの超人的なパフォーマンスに悩まされるのは間違いない。